2020/06/17 オイラーの微分方程式

本日のお題

次の微分方程式の解き方を教えてください \[x^2\,y'' -3x\,y' + 4y = x \tag{♪}\]

はい,承知しました
久しぶりに楽しい質問を頂戴しました
\(y''\) の 係数に \(x^2\) を含み,\(y'\) の係数に \(x\) を含んでいるというところが,この微分方程式の特徴です
このタイプの微分方程式を オイラーの微分方程式 といい,変数係数の線形微分方程式の最初に扱われることも多いものです

まずは,定数係数の場合と同様に斉次微分方程式 \[x^2\,y'' -3x\,y' + 4y = 0 \tag{1}\] の解から求めていきます

すみません,コロナの影響でオンライン授業に,オンラインでの学習支援業務と,自転車操業の毎日でして,詳しい説明は省略させていただきますが・・・ \[t = \log{|\,x\,|} \tag{2}\] とおいて変数変換するのが常套手段です

\((2)\) の両辺を \(x\) で微分すると \[\frac{dt}{dx} = \frac{1}{x}\quad ∴\quad x = \frac{dx}{dt}\] したがって \[\displaystyle x\frac{dy}{dx} = \frac{dy}{dx}\cdot\frac{dx}{dt} = \frac{dy}{dt} \tag{3}\] となり,\((3)\) の両辺を更に \(t\) で微分すると次の式も得られます \[\begin{eqnarray} && \frac{dx}{dt}\cdot\frac{dy}{dx} + x\,\frac{d^2 y}{dx^2}\cdot\frac{dx}{dt} = \frac{d^2 y}{dt^2} \\ &&∴\quad x^2\,\frac{d^2 y}{dt^2} = \frac{d^2 y}{dt^2} - \frac{dy}{dt} \tag{4}\end{eqnarray}\] \((3)\)\((4\)) を \((1)\) に代入します \[\begin{eqnarray} && \frac{d^2 y}{dt^2} - \frac{dy}{dt} - 3\frac{dy}{dt} + 4y = 0 \\ && \frac{d^2 y}{dt^2} - 4\,\frac{dy}{dt} + 4y = 0 \tag{5} \end{eqnarray}\] あ~ら不思議! 定数係数の線形微分方程式になってしまいました
このときの \(y\) は,\(t\) の関数であることに注意してください
それにしても,\((5)\) の特性解が重解になりますねぇ … 結構エグイ(笑)

\((5)\) の特性方程式 \(\lambda^2 - 4\lambda + 4 = 0\) を解いて,\(\lambda = 2\)

したがって,\(t\) に関しての基本解が \(e^{2t}\)\(te^{2t}\) になります

この基本解の変数を \(x\) に戻しましょう \[\begin{eqnarray} && e^{2t} = e^{2\log|x|} = e^{\log x^2} = x^2 \\ && te^{2t} = x^2 \log|\,x\,| \end{eqnarray}\]

この基本解を基に,特殊解 \(v(x)\) を求めれば,\((♪)\) の一般解は \[y = C_1 x^2 + C_2 x^2\log|\,x\,| + v(x)\] となります

特殊解を求めるためには,定数変化法を用いることにします

\(\varphi(x) = x^2\)\(\psi(x) = x^2\log|\,x\,|\) とおくと,\(<\varphi(x),\ \psi(x)>\) のロンスキアン \(|\,\mbox{W}\,|\)\[\begin{eqnarray} |\,\mbox{W}\,| &=& \left|\begin{array}{cc} x^2 & x^2 \log|\,x\,| \\ 2x & 2x\log|\,x\,| + x \end{array}\right| \\[4px] &=& 2x^3\log|\,x\,| + x^3 - 2x^3\log|\,x\,| \\ &=& x^3 \end{eqnarray}\] 特殊解を \(v(x) = A(x)\,\varphi(x) + B(x)\,\psi(x)\) とおき,\((♪)\)\[y'' - \frac{3}{x}\,y' + \frac{4}{x}\,y = \frac{1}{x}\] と変形すれば \[\begin{eqnarray} A'(x) &=& -\frac{x^2\log|\,x\,|}{x^3\cdot x} = -\frac{\log|\,x\,|}{x^2} \\[4px] A(x) &=& \int\left(\frac{1}{x}\right)'\log|\,x\,|\,dx \\[4px] &=& \frac{\log|\,x\,|}{x} - \int\frac{1}{x^2}\,dx \\[4px] &=& \frac{\log|\,x\,|}{x} + \frac{1}{x} \\[8px] B'(x) &=& \frac{x^2}{x^3\cdot x} = \frac{1}{x^2} \\[4px] B(x) &=& -\frac{1}{x} \end{eqnarray}\] よって,特殊解は \[v(x) = \left(\frac{\log|\,x\,|}{x} + \frac{1}{x}\right)\cdot x^2 - \frac{1}{x}\cdot x^2\log|\,x\,| = x\] 以上によって,\((♪)\) の一般解は \[y = C_1\,x^2 + C_2\,x^2\log|\,x\,| + x\] ミッション完了~!

・・・のつもりでしたが・・・\(t\) の関数として \(y\) を求めて,最後に \(x\) の関数に戻した方が楽ですねぇ
右辺の場合分けが嫌だったので,上の解を作ったのですよねぇ・・・

\(x > 0\) のとき,\(x = e^t\) となりますので,微分方程式 \((♪)\)\[y'' - 4y' + 4y = e^t \tag{6}\] となります

\((6)\) であれば基本解を \(e^{2t}\)\(t\,e^{2t}\) のまま解いていくことができます

この場合のロンスキアンは \(\left|\begin{array}{cc} e^{2t} & t\,e^{2t} \\ 2e^{2t} & (2t + 1)e^t \end{array}\right| = e^{4t}\) となります

そこで,\((6)\) の特殊解を \(v(t) = A(t)\,e^t + B(t)\,t\,e^{t}\) とすると \[\begin{eqnarray} A'(t) &=& -\frac{t\,e^{2t}\cdot e^t}{e^{4t}} = -t\,e^{-t} \\[4px] A(t) &=& \int t\,(e^{-t})' = t\,e^{-t} - \int e^{-t}\,dt = t\,e^{-t} + e^{-t} \\[8px] B'(t) &=& \frac{e^{2t}\cdot e^t}{e^{4t}} = e^{-t} \quad ∴\quad B(t) = -e^{-t} \end{eqnarray}\] したがって,\(\displaystyle v(t) = (t + 1)e^{-t}\cdot e^{2t} - e^{-t}\cdot t\,e^{2t} = e^{t}\) となって解は \[y = C_1\,e^{2t} + C_2\,t\,e^{2t} + e^t = C_1\, x^2 + C_2\, x^2\log x + x \tag{7}\]

一方,\(x < 0\) のとき,\(x = -e^t\) となって,微分方程式 \((♪)\)\[y'' - 4y' + 4y = -e^t \tag{8}\] となり,これを解いていきます
解き方は,上とほぼほぼ同様なので省略させてもらいまして,解は \[y = C_1\,e^{2t} + C_2\,t\,e^{2t} - e^t = C_1\, x^2 + C_2\, x^2\log(-x) + x \tag{9}\] となります

\((7)\)\((9)\) を合わせると \(y = C_1\,x^2 + C_2\,x^2\log|\,x\,| + x\) となります

やってみれば,積分の計算が若干楽かなぁという程度,場合分けの労力を考えると???ですね
そもそも,私には上の解法の方が美しく見えてしまいます f^^;

Last modified: Friday, 5 March 2021, 5:37 PM