2019/01/25 併進運動と回転運動

本日のお題

次の問題の解き方を教えてください。

  1. 半径 \(R\),質量 \(M\) の一様な円板に糸を巻き付け,糸の端を固定した。円板に接していない糸の部分を鉛直になるようにして,円板を放した。円板の重心の加速度と糸の張力を求めなさい。なお,円板と糸はすべらないものとする。
  2. 半径 \(R\),質量 \(M\) の円板が傾斜角 \(\theta\) の斜面をすべることなく転がり落ちている。このとき,円板の斜面下方向の加速度を求めなさい。

昨日の慣性モーメントを使う具体的な問題です。いずれも円板が回転しながら進むというものです。物体の重心の動き ― これを並進運動というそうです ― と回転運動とに分けて考えます。

まずは 1. の問いから。

\(mg\)

\(T\)

円板の重心の加速度を \(a\),円板の回転の各加速度を \(\alpha\),糸の張力を \(T\) として,円板の重心の運動方程式と回転の運動方程式を立てます。\[\begin{eqnarray} && Ma = Mg - T \tag{1} \\ && \displaystyle \frac{1}{2}MR^2\alpha = TR \tag{2} \end{eqnarray}\]円板の中心周りの慣性モーメントは,昨日の結果をそのまま使いました。

さらに,\(a\)\(\alpha\) の間には\[a = R\alpha \tag{3}\]の関係があります。

(3) から \(\displaystyle \alpha = \frac{a}{R}\) となるので,これを (2) に代入します。\[\begin{eqnarray} & \displaystyle \frac{1}{2} M R^2 \frac{a}{R} = TR & \\ & \displaystyle \mbox{∴}\quad T = \frac{1}{2} Ma & \tag{4} \end{eqnarray}\](4) を (1) に代入すると\[\begin{eqnarray} & \displaystyle Ma = Mg - \frac{1}{2}Ma & \\ & \displaystyle \frac{3}{2}Ma = Mg & \\ & \displaystyle \mbox{∴}\quad a = \frac{2}{3}g & \tag{5}\end{eqnarray}\](5) を (4) に代入して \[T = \frac{1}{3}Mg\]

以上から 円板の重心の加速度は \(\displaystyle \frac{2}{3}g\),糸の張力は \(\displaystyle \frac{1}{3}Mg\)

続いて,2. の問いの解答です。

\(\theta\)

\(Mg\)

\(Mg\cos\theta\)

\(Mg\sin\theta\)

\(Mg\cos\theta\)

\(\mu Mg\cos\theta\)

円板にかかる重力 \(Mg\) を斜面方向と斜面に垂直な方向との成分に分解すると,斜面方向が \(Mg\sin\theta\) であり,垂直方向が \(Mg\cos\theta\) です。

円板が斜面から受ける垂直抗力は \(Mg\cos\theta\) に一致するので,円板が斜面から受ける摩擦力は,円板と斜面との間の転がり摩擦係数を \(\mu\) として \(\mu Mg\cos\theta\) です。

したがって,円板の斜面方向の加速度を \(a\) とすると円板の重心の運動方程式は\[Ma = Mg\sin\theta - \mu Mg\cos\theta \tag{6}\]となります。

また,円板の重心周りの慣性モーメントは \(\displaystyle \frac{1}{2}MR^2\) ですから,円板の回転の運動方程式は,回転の角加速度を \(\alpha\) として \[\frac{1}{2}MR^2\alpha = \mu Mg\cos\theta\cdot R \tag{7}\]となります。

この場合も \(a\)\(\alpha\) の間には \(a = R\alpha\) が成り立つので,\(\displaystyle \alpha = \frac{a}{R}\) を (7) に代入すると\[\begin{eqnarray} & \frac{1}{2}R^2\cdot\frac{a}{R} = \mu g\cos\theta\cdot R & \\ \displaystyle & \mbox{∴} \quad \mu = \frac{a}{2g\cos\theta} & \tag{8}\end{eqnarray}\](8) を (6) に代入すると\[\begin{eqnarray} & a = g\sin\theta - \frac{ag\cos\theta}{2g\cos\theta} & \\ & a = g\sin\theta - \frac{1}{2}a & \\ & \frac{3}{2}a = g\sin\theta & \\ & \mbox{∴} \quad a = \frac{2}{3}g\sin\theta \end{eqnarray}\]この結果から,円板の加速度は,物体がなめらかな斜面を滑り落ちる運動の加速度の \(\displaystyle \frac{2}{3}\) であることが分かります。

Last modified: Friday, 5 March 2021, 5:29 PM