2019/04/14 点電荷に作用する力

本日のお題

\((0,\ 0)\)\((0,-1)\)\((1,\ 0)\) に電荷 \(q_0\)\(q_1\)\(q_2\) があり, \[q_0 = 10^{-5}\,\mbox{C}\ ,\quad q_1 = 10^{-4}\,\mbox{C}\ ,\quad q_2 = -10^{-3}\,\mbox{C}\] であるとき,電荷 \(q_0\) が電荷 \(q_1\)\(q_2\) から受ける力を求めよ。ただし,座標の単位は \(\mbox{m}\) である。

この問いをベクトルを使って求めるための考え方を教えてください。

問いそのものは高校生が解けるものです。しかし,電磁気学の勉強をしていく上で,ベクトルを使って解くことに慣れることは大切です。ということで,少々解説をしましょう。

クーロンの法則

それでは,クーロンの法則からです。\(q\)\(q'\,\left[\,\mbox{C}\,\right]\) に帯電した電荷が \(r\,\left[\,\mbox{m}\,\right]\) 離れて存在するとき,2つの電荷の間には \[F = k\cdot\frac{q\,q'}{r^2}\,\left[\,\mbox{N}\,\right]\quad\left(\,k = 8.988 \times 10^9\,\right)\] の電気力が作用します。ただし,質問の問いでは,比例定数 \(k\)\(9\times 10^9\) としているようです。

力ですから,大きさだけでなく,どの方向に作用するかどこに作用するか が重要です。質問の問いでは,\(q_0\) に作用する力を求めるとなっています。ですから,上の力を「電荷 \(q\) が電荷 \(q'\) から受ける力」と明確にします。

次に,力の向きです。\(q\)\(q'\) が同符号ならば反発し合い,異符号ならば引き合います。

\(q\)\(q'\) が同符号の場合

\(q\)\(q'\) が異符号の場合

\(q\)

\(q'\)

\(q\)

\(q'\)

ここで,\(q\,q'\) の符号を考え,\(q'\) から \(q\) に向かう 単位ベクトル を \(\boldsymbol{e}\) とすると

\(q\)\(q'\) が同符号の場合

\(q\)\(q'\) が異符号の場合

\(q\)

\(q'\)

\(q\)

\(q'\)

\(q\)\(q'\) から受ける力 \(\boldsymbol{F}\)

\(q\)\(q'\) が同符号であれば,\(\boldsymbol{e}\) と同じ向きであり \(q\,q' > 0\) なので,\(\displaystyle \boldsymbol{F} = k\cdot\frac{q\,q'}{r^2}\,\boldsymbol{e}\) が成り立ち

\(q\)\(q'\) が異符号であれば,\(\boldsymbol{e}\) と反対向きであり \(q\,q' < 0\) なので,やはり \(\displaystyle \boldsymbol{F} = k\cdot\frac{q\,q'}{r^2}\,\boldsymbol{e}\) が成り立ちます。

\(\displaystyle \boldsymbol{F} = k\cdot\frac{q\,q'}{r^2}\,\boldsymbol{e}\)

この式の \(\boldsymbol{e}\) を書き換えます。

\(q\)

\(q'\)

\(\boldsymbol{r}\)

\(q'\) から \(q\) に向かうベクトルを \(\boldsymbol{r}\) とします。すると 単位ベクトル \(\boldsymbol{e}\)\[\boldsymbol{e} = \frac{\boldsymbol{r}}{\|\,\boldsymbol{r}\,\|} = \frac{\boldsymbol{r}}{r}\] となるので,\(\boldsymbol{F}\) は次のように書けます。

\[\boldsymbol{F} = k\cdot\frac{q\,q'}{r^3}\,\boldsymbol{r}\]

電荷が受ける合力

電荷 \(q_0\) が電荷 \(q_1\) から受ける力を \(\boldsymbol{F}_1\),電荷 \(q_2\) から受ける力を \(\boldsymbol{F}_2\) とします。また,点 \((0,-1)\)\(\mbox{P}_1\),点 \((1,\ 0)\)\(\mbox{P}_2\) として,\(\mbox{P}_1\) から \(\mbox{O}\) に向かうベクトルを \(\boldsymbol{r}_1\)\(\mbox{P}_2\) から \(\mbox{O}\) に向かうベクトルを \(\boldsymbol{r}_2\) とします。

\(x\)

\(y\)

\(q_0 = 10^{-5}\)

\(\mbox{P}_1(0,-1)\)
\(q_1 = 10^{-4}\)

\(\mbox{P}_2(1,\ 0)\)

\(q_2 = -10^{-3}\)

\(\boldsymbol{r}_1 = (0,\ 1)\)

\(\boldsymbol{r}_2 = (-1,\ 0)\)

\(\boldsymbol{F}_1\)

\(\boldsymbol{F}_2\)

\(\boldsymbol{r}_1 = (0,\ 1)\)\(\boldsymbol{r}_2 = (-1,\ 0)\) であり,\(r_1 = \|\,\boldsymbol{r}_1\,\|\)\(r_2 = \|\,\boldsymbol{r}_2\,\|\) として\[\begin{eqnarray} \boldsymbol{F}_1 &=& k\cdot\frac{q_0\,q_1}{r_1\!^3}\,\boldsymbol{r}_1 \\[2px] &=& 9\times 10^{9}\times \frac{10^{-5}\times 10^{-4}}{1^3}\,(0,\ 1) \\[2px] &=& (0,\ 9) \\[6px] \boldsymbol{F}_2 &=& k\cdot\frac{q_0\,q_2}{r_2\!^3}\,\boldsymbol{r}_2 \\[2px] &=& 9\times 10^{9}\times \frac{10^{-5}\times(-10^{-3})}{1^3}\,(-1,\ 0) \\[2px] &=& (90,\ 0) \end{eqnarray}\] \(q_0\)\(q_1\)\(q_2\) から受ける力は,\(\boldsymbol{F}_1\)\(\boldsymbol{F}_2\) の合力ですから \[\boldsymbol{F}_1 + \boldsymbol{F}_2 = (0,\ 9) + (90,\ 0) = (90,\ 9)\]

電荷 \(q_0\)\(q_1,\ q_2,\ \cdots\ ,\ q_n\) があり,\(q_1,\ q_2,\ \cdots\ ,\ q_n\) から \(q_0\) に向かうベクトルが \(\boldsymbol{r}_1,\ \boldsymbol{r}_2,\ \cdots\ ,\ \boldsymbol{r}_n\),それぞれのベクトルの大きさ(各電荷と \(q_0\) との距離)が \(r_1,\ r_2,\ \cdots\ ,\ r_n\) であるとき,\(q_0\)\(q_1,\ q_2, \cdots\ ,\ q_n\) から受ける力 \(\boldsymbol{F}\) は次のとおりです。 \[\boldsymbol{F} = \sum_{i = 1}^n k\cdot\frac{q_0\,q_i}{r_i\!^3}\,\boldsymbol{r}_i\]

Last modified: Friday, 5 March 2021, 5:27 PM