本時の目標

  1. 微分係数の定義と図形的な意味を確認する。
  2. 導関数の定義を確認し,整関数の導関数を定義により求めることができる。
  3. 整関数,有理関数,無理関数について導関数を求めることができる。

微分係数と導関数

微分係数と導関数については,すでに基礎数学で学んでいます。定義や基本的な性質を復習しておきましょう。

下の図のように,関数 \(y = f(x)\) のグラフの上に2点 \(\mbox{A}(a,\ f(a))\)\(\mbox{B}(b,\ f(b))\) をとり,2点を通る直線 \(\mbox{AB}\) を考えます。

\(x\)

\(y\)

このとき,直線 \(\mbox{AB}\) 傾きは

\[\displaystyle \frac{f(b) - f(a)}{b - a} \tag{1}\]

と表され,これを「\(x\) の値が \(a\) から \(b\) へ変化したときの関数 \(f(x)\)平均変化率」といいます。

ここで,点 \(\mbox{B}\) を点 \(\mbox{A}\) に近づけていくとき,平均変化率の極限値

\[\displaystyle \lim_{b \to a}\frac{f(b) - f(a)}{b - a} \tag{2}\]

が存在するならば,その値を \(f(x)\)\(x = a\) における微分係数と呼び,\(f'(a)\) で表します。また,微分係数が存在する,すなわち \((2)\) の極限値が存在するとき「関数 \(f(x)\)\(x = a\)微分可能である」といいます。

\((2)\)\(b - a = h\) として書き換えた,次の式 \((3)\) もすでにお馴染みで,この式が微分係数の定義としてよく用いられます。

微分係数の定義

\[\displaystyle f'(a) = \lim_{h \to 0} \frac{f(a + h) - f(a)}{h} \tag{3}\]

さらに,式 \((3)\) において,定数 \(a\) を変数 \(x\) に置き換えると,各点での微分係数を与える関数が得られ,これを導関数とよびました。関数 \(f(x)\) の導関数を求めることを単に \(f(x)\) を微分するといい,導関数を表す記号には \(y'\)\(f'(x)\)\(\displaystyle \frac{dy}{dx}\)\(\displaystyle \frac{d}{dx}f(x)\) などがあります。

導関数の定義

\[\displaystyle f'(x) = \lim_{h \to 0} \frac{f(x + h) - f(x)}{h} \tag{4}\]

課題1 次の問いに答えましょう。

  1. 関数 \(f(x) = 3x^2\) について微分係数 \(f'(1)\) を定義にしたがって求めましょう。
  2. 関数 \(f(x) = \left|\,x\,\right|\)\(x = 0\) で微分可能でないことを示しましょう。
  3. 関数 \(f(x) = x^2 + x\) について導関数 \(f'(x)\) を定義にしたがって求めましょう。

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微分法に関する公式等

基礎数学では微分法について,定義の他に次の公式等も学んでいますから,こちらも確認しておきましょう。

\(x^n\) の導関数

\[\displaystyle \left(x^n\right)' = nx^{n - 1}\]

\(n\) は任意の正の整数・・・だけではなく,負の整数についても有理数についても成り立つことを確認しました。

微分の線形性

\[\begin{array}{l} \left\{kf(x)\right\}' = kf'(x)\quad{\small (}k{\small は定数)} \\ \left\{f(x) + g(x)\right\}' = f'(x) + g'(x) \end{array}\]

積の導関数・商の導関数

\[\begin{array} \displaystyle \left\{f(x)g(x)\right\}' = f'(x)g(x) + f(x)g'(x) \\ \displaystyle \left\{\frac{f(x)}{g(x)}\right\}' = \frac{f'(x)g(x) - f(x)g'(x)}{\left\{g(x)\right\}^2} \end{array}\]

合成関数の導関数(連鎖率)

\[\displaystyle \frac{dy}{dx} = \frac{dy}{du}\cdot \frac{du}{dx}\]

課題2 次の関数を微分しましょう。

  1. \(\displaystyle y = 2x^3 + 6x^2 - x + 3\) 解答 隠す
  2. \(\displaystyle y = x(x^2 - 3)\) 解答 隠す
  3. \(\displaystyle y = (x + 3)(x^2 + 1)\) 解答 隠す
  4. \(\displaystyle y = (x + 1)(x^2 + x + 1)\) 解答 隠す
  5. \(\displaystyle y = \frac{1}{x}\) 解答 隠す
  6. \(\displaystyle y = \frac{1}{x^3}\) 解答 隠す
  7. \(\displaystyle y = \frac{1}{x + 2}\) 解答 隠す
  8. \(\displaystyle y = \frac{x + 2}{x - 3}\) 解答 隠す
  9. \(\displaystyle y = \frac{x}{x^2 + 2}\) 解答 隠す
  10. \(\displaystyle y = \frac{3x + 1}{x^2 + 1}\) 解答 隠す
  11. \(\displaystyle y = \sqrt{x + 1}\) 解答 隠す
  12. \(\displaystyle y = \sqrt{2x - 3}\) 解答 隠す
  13. \(\displaystyle y = (x + 1)\sqrt{x - 1}\) 解答 隠す
  14. \(\displaystyle y = x\sqrt{x^2 + 1}\) 解答 隠す
  15. \(\displaystyle y = \frac{x + 1}{\sqrt{x - 1}}\) 解答 隠す
  16. \(\displaystyle y = \sqrt{(x + 1)(x + 2)}\) 解答 隠す
  17. \(\displaystyle y = \sqrt{\frac{x + 1}{x + 2}}\) 解答 隠す
  18. \(\displaystyle y = \sqrt{\frac{x}{x^2 + 1}}\) 解答 隠す

GeoGebra で導関数を求めるときは,次のように入力します。

\[\mbox{Derivative}(f(x))\]

これで,入力した関数 \(f(x)\) の導関数を求めることができます。Wolfram Alpha でも同じ書式で導関数を求めることとができます。

最終更新日時: 2022年 05月 10日(火曜日) 13:43