04 接線の方程式,微分及び三角関数・指数関数に係る極限

本時の目標

  1. 関数のグラフの接線を求めることができる。
  2. 関数の微分を求めることができる
  3. \(\displaystyle \lim_{x \to 0} \frac{\sin x}{x} = 1\) に関して理解し,三角関数を含む関数の極限を求めることができる。
  4. ネイピア数に関して理解し,これに関連した極限値を求めることができる。

接線の方程式と微分

微分係数の図形的な意味は,その関数のグラフの当該点で引いた接線の傾きでした。そのことを下図で確認しておきましょう。スライダーを動かして点 \(\mbox{B}\) を点 \(\mbox{A}\) に近づけます。すると,直線 \(\mbox{AB}\) が点 \(\mbox{A}\) における接線に近づくことが分かります。

\(x\)

\(y\)

微分係数と接線の傾き

関数 \(f(x)\)\(x = a\) で微分可能なとき,\(x = a\) における \(f(x)\) の微分係数 \(f'(a)\) は,\(f(x)\) のグラフの \(x = a\) における接線の傾きに等しい

したがって,関数 \(y = f(x)\) のグラフについて,\(x = x_0\) において接線の方程式は \[y - f(x_0) = f'(x_0)\left(x - x_0\right) \tag{1}\] となります。この式において,\(x - x_0\)\(y - f(x_0)\) はそれぞれ \(x\)\(y\) の増分と考えることができるので,これを \(dx\)\(dy\) に置き換えると

\[dy = f'(x)\,dx \tag{2}\]

となります。式 \((2)\) を関数 \(f(x)\)微分といいます。

課題1

⑴ 関数 \(\displaystyle f(x) = \frac{1}{x^2 + 1}\) のグラフについて,\(x = 1\) に対応する点における接線の方程式を求めましょう。 解答 隠す

⑵ 関数 \(\displaystyle f(x) = \frac{x}{x^2 + 1}\) のグラフについて,原点における接線の方程式を求めましょう。 解答 隠す

⑶ 関数 \(\displaystyle f(x) = \sqrt{x + 1}\) のグラフについて,\(x = 0\) に対応する点における接線の方程式を求めましょう。 解答 隠す

⑷ 関数 \(\displaystyle f(x) = (x - 1)\sqrt{x}\) のグラフについて,\(x = 1\) に対応する点ににおける接線の方程式を求めましょう。 解答 隠す

課題2

⑴ 関数 \(f(x) = 3x^2\) の微分を求めましょう。

⑵ 関数 \(f(x) = x^2 + x\) の微分を求めましょう。

\(\displaystyle \lim_{x \to 0} \frac{\sin x}{x} = 1\)

この極限値については,第1回の授業で数値計算により \(1\) になることを確かめました。この極限値は,三角関数の微分・積分を行う上で基本となるものです。ここでは,数値計算ではなく,論理的に成り立つことを見ていきます。

まず,\(\displaystyle 0 < x < \frac{\pi}{2}\)

\[\displaystyle 0 < 1 - \frac{\sin x}{x} < \frac{1 - \cos x}{x}\tag{3}\]

が成り立つことを示します。

上図の円弧は中心が原点,半径が \(1\) です。この図からから不等式

\[\mbox{PH} < {\small 弧}\mbox{PA} < \mbox{PH} + \mbox{HA}\]

の成り立つことが分かります。この不等式に \(\mbox{PH} = \sin x\),弧\(\mbox{PA} = x\)\(\mbox{HA} = 1 - \cos x\) を代入すると

\[\begin{array}{l} \sin x < x < \sin x + 1 - \cos x \\[2px] ∴ \quad 0 < x - \sin x < 1 - \cos x \end{array}\]

が成り立ちます。ここで,\(x > 0\) より,各辺を \(x\) で割ると式 \((3)\) が得られます。

\[\displaystyle 0 < 1 - \frac{\sin x}{x} < \frac{1 - \cos x}{x}\]

さらに \(\displaystyle \frac{1 - \cos x}{x}\) を変形していきます。

\[\displaystyle \frac{1 - \cos x}{x}\begin{array}[t]{l} \displaystyle < \frac{(1 - \cos x)(1 + \cos x)}{x} \\ \displaystyle = \frac{1 - \cos^2 x}{x} \\ \displaystyle = \frac{\sin^2 x}{x} \\ \displaystyle < \frac{x^2}{x} = x \end{array}\]

したがって,\(\displaystyle 0 < 1 - \frac{\sin x}{x} < x\) となります。各辺の \(x \to +0\) の右側極限値を考えると

\[\begin{array}{l} \displaystyle 0 \leqq \lim_{x \to +0} \left(1 - \frac{\sin x}{x}\right) \leqq \lim_{x \to +0} x = 0 \\[2px] ∴ \quad \displaystyle \lim_{x \to +0} \left(1 - \frac{\sin x}{x}\right) = 0 \end{array}\]

これにより,\(\displaystyle \lim_{x \to +0} \frac{\sin x}{x} = 1\) が示されました。

次に,\(\displaystyle \lim_{x \to -0} \frac{\sin x}{x} = 1\) を示します。\(x = -t\) とおくと \(x < 0\) のとき \(t > 0\) であり,\(x \to -0\) のとき \(t \to +0\) です。したがって

\[\displaystyle \lim_{x \to -0} \frac{\sin x}{x}\begin{array}[t]{l} \displaystyle = \lim_{t \to +0} \frac{\sin(-t)}{-t} \\ \displaystyle = \lim_{t \to +0} \frac{-\sin t}{-t} \\ \displaystyle = \lim_{t \to +0} \frac{\sin t}{t} \\ = 1 \end{array}\]

右側極限値と左側極限値が一致しましたから,次の式が成り立ちます。

\[\displaystyle \lim_{x \to 0} \frac{\sin x}{x} = 1\]

例題1

極限値 \(\displaystyle \lim_{x \to 0} \frac{\sin 2x}{x}\) を求めましょう。

解 答 \(\displaystyle \lim_{□ \to 0} \frac{\sin □}{□}\)
    ポイントはが一致していること

\[\displaystyle \lim_{x \to 0} \frac{\sin 2x}{x}\begin{array}[t]{l} \displaystyle = \lim_{x \to 0} \frac{\sin 2x}{2x}\cdot 2 \\ = 1 \cdot 2 \\ = 2 \end{array}\]

(別解)

\[\displaystyle \lim_{x \to 0} \frac{\sin 2x}{x}\begin{array}[t]{l} \displaystyle = \lim_{x \to 0} \frac{2\sin x\cos x}{x} \\ \displaystyle = \lim_{x \to 0} \frac{\sin x}{x}\cdot 2\cos x \\ = 2 \end{array}\]

課題3 次の極限値を求めましょう。

  1. \(\displaystyle \lim_{x \to 0} \frac{\sin 5x}{x}\) 解答 隠す
  2. \(\displaystyle \lim_{x \to 0} \frac{\sin 2x}{\sin 3x}\) 解答 隠す
  3. \(\displaystyle \lim_{x \to 0} \frac{1 - \cos x}{\sin^2 x}\) 解答 隠す
  4. \(\displaystyle \lim_{x \to 0} \frac{\cos x - 1}{x}\) 解答 隠す
  5. \(\displaystyle \lim_{x \to 0} \frac{\sin x^2}{x}\) 解答 隠す

ネイピア数 \(e\)

次に,指数関数・対数関数を扱う上で大変重要な数である,ネイピア数について説明をします。

極限値 \(\displaystyle \lim_{x \to \infty}\left(1 + \frac{1}{x}\right)^x\) を考えましょう。電卓等を用いて,この極限が収束している(本当は「しそうである」)ことを確認しましょう。その極限値は,いくつくらいでしょうか?

この極限値をネイピア数といって \(e\) と表します。ネイピア数 \(e\) は,微積分においてとても重要な数です。

ネイピア数

\[\displaystyle \lim_{x \to \infty} \left(1 + \frac{1}{x}\right)^x = e \tag{2}\]

また,\(e\) は 上で示したものとは異なる関数の極限値として表すことができます。例えば・・・

\[\displaystyle \lim_{x \to -\infty} \left(1 + \frac{1}{x}\right)^x = e \tag{3}\]

\[\displaystyle \lim_{x \to -\infty} \left(1 + \frac{1}{x}\right)^x \begin{array}[t]{l} \displaystyle = \lim_{x \to \infty} \left(1 + \frac{1}{-x}\right)^{-x} \\ \displaystyle = \lim_{x \to \infty} \left(\frac{x - 1}{x}\right)^{-x} \\ \displaystyle = \lim_{x \to \infty} \left(\frac{x}{x - 1}\right)^x \\ \displaystyle = \lim_{x \to \infty} \left(1 + \frac{1}{x - 1}\right)^x \\ \displaystyle = \lim_{x \to \infty} \left(1 + \frac{1}{x - 1}\right)^{x - 1} \cdot \left(1 + \frac{1}{x - 1}\right) \\ = e \cdot 1 = e \end{array}\]

\[\displaystyle \lim_{x \to 0} \left(1 + x\right)^{\frac{1}{x}} = e \tag{4}\]

上記の (2) と (3) の \(x\)\(\displaystyle \frac{1}{x}\) で置き換えると\[\lim_{x \to +0}\left(1 + x\right)^{\frac{1}{x}} = \lim_{x \to -0}\left(1 + x\right)^{\frac{1}{x}} = e\]

例題2

極限値 \(\displaystyle \lim_{x \to \infty}\left(1 - \frac{1}{x}\right)^x\) を求めましょう。

解 答

\[\displaystyle \lim_{x \to \infty}\left(1 - \frac{1}{x}\right)^x\begin{array}[t]{l} \displaystyle = \lim_{x \to \infty}\left(1 + \frac{1}{-x}\right)^x \\ \displaystyle = \lim_{x \to \infty}\left\{\left(1 + \frac{1}{-x}\right)^{-x}\right\}^{-1} \\ \displaystyle = e^{-1} \\ \displaystyle = \frac{1}{e} \end{array}\]

課題4 次の極限値を求めましょう。

  1. \(\displaystyle \lim_{x \to 0}\left(1 - x\right)^{\frac{1}{x}}\) 解答 隠す
  2. \(\displaystyle \lim_{x \to \infty}\left(1 + \frac{2}{x}\right)^x\) 解答 隠す
  3. \(\displaystyle \lim_{x \to 0}\frac{e^x - 1}{x}\) 解答 隠す
  4. \(\displaystyle \lim_{x \to 0}\frac{e^x - e^{-x}}{x}\) 解答 隠す

自然対数

ネイピア数 \(e\) を底とする対数 \(\log_e x\) を自然対数といい,単に \(\log x\) と表します。

Last modified: Friday, 5 March 2021, 5:00 PM