05 三角・指数・対数関数の導関数

本時の目標

  1. 導関数の定義などにより \(\sin x\) 及び \(\cos x\) の導関数を求めることができる。
  2. さらに,商の導関数により \(\tan x\) の導関数を求めることができる。
  3. 導関数の定義により \(e^x\) の導関数を求めることができる
  4. 導関数の定義により \(\log x\) の導関数を求めることができる。
  5. 三角・指数・対数関数を含む関数の導関数を求めることができる。

\(\sin x\)\(\cos x\) の導関数

前回示した三角関数に関する極限値 \(\displaystyle \lim_{x \to 0} \frac{\sin x}{x}\) を用いると,\(\sin x\) の導関数を求めることができます。\((\sin x)'\) を定義から求めてみましょう。

導関数の定義は \(\displaystyle f'(x) = \lim_{h \to 0} \frac{f(x + h) - f(x)}{h}\) でした。したがって

\[\begin{array}[t]{l} (\sin x)' \\ \displaystyle = \lim_{h \to 0} \frac{\sin(x + h) - \sin x}{h} \\ \displaystyle = \lim_{h \to 0} \frac{\sin x \cos h + \cos x \sin h - \sin x}{h} \\ \displaystyle = \lim_{h \to 0} \frac{\sin x(\cos h - 1) + \cos x \sin h}{h} \\ \displaystyle = \lim_{h \to 0} \left(\sin x \cdot \frac{\cos h - 1}{h} + \cos x \cdot \frac{\sin h}{h}\right) \\ = \sin x \cdot 0 + \cos x \cdot 1 \\ = \cos x \end{array}\]

注)\(\displaystyle \lim_{h \to 0}\frac{\cos h - 1}{h} = 0\) には,第4回 課題2 (4) の \(\displaystyle \lim_{x \to 0} \frac{\cos x - 1}{x} = 0\) を用いました。

また,\(\cos x\) の導関数については,定義に戻らずとも \(\displaystyle \cos x = \sin\left(\frac{\pi}{2} - x\right)\)忘れてしまった方はこちらを参照)を用いて求めることができます。

\[(\cos x)'\begin{array}[t]{l} \displaystyle = \left\{\sin\left(\frac{\pi}{2} - x\right)\right\}' \\ \displaystyle = \cos\left(\frac{\pi}{2} - x\right)\cdot \left(\frac{\pi}{2} - x\right)' \\ = \sin x \cdot (-1) \\ = -\sin x \end{array}\]

\(\sin x\)\(\cos x\) の導関数

\[(\sin x)' = \cos x \mbox{,}\ (\cos x)' = -\sin x\]

\(\tan x\) の導関数

\(\sin x\)\(\cos x\) の導関数が分かると \(\tan x\) の導関数を求めることもできます。\(\displaystyle \tan x = \frac{\sin x}{\cos x}\) ですから商の導関数を用います。

\[\begin{array}[t]{l} (\tan x)' \\ \displaystyle = \left(\frac{\sin x}{\cos x}\right)' \\ \displaystyle = \frac{(\sin x)'\cos x - \sin x (\cos x)'}{\cos^2 x} \\ \displaystyle = \frac{\cos x \cos x - \sin x (-\sin x)}{\cos^2 x} \\ \displaystyle = \frac{\cos^2 x + \sin^2 x}{\cos^2 x} \\ \displaystyle = \frac{1}{\cos^2 x}\ \Big[= \sec^2 x\Big] \end{array}\]

\(\tan x\) の導関数

\[\displaystyle (\tan x)' = \frac{1}{\cos^2 x} = \sec^2 x\]

指数関数の導関数

前回,ネイピア数 \(\displaystyle \left[e = \lim_{x \to \infty} \left(1 + \frac{1}{x}\right)^x\right]\) について説明しました。指数関数の導関数は,まず \(e\) を底とする関数 \(e^x\) の導関数からスタートしましょう。

\(e^x\) の導関数を求める過程で必要になるので,第4回 課題3 (3) を思い出しておきます。

\(\displaystyle \lim_{x \to 0} \frac{e^x - 1}{x} = 1\)

これを踏まえて,定義にしたがって \((e^x)'\) を求めます。

\[(e^x)'\begin{array}[t]{l} \displaystyle = \lim_{h \to 0} \frac{e^{x + h} - e^x}{h} \\ \displaystyle = \lim_{x \to 0} \frac{e^x \cdot e^h - e^x}{h} \\ \displaystyle = \lim_{h \to 0} \frac{e^x\left(e^h - 1\right)}{h} \\ \displaystyle = e^x \cdot \lim_{h \to 0} \frac{e^h - 1}{h} \\ = e^x \cdot 1 \\ = e^x \end{array}\]

つまり,\(e^x\) は微分しても変わらない,導関数が自分自身になっている関数です。\(e\) を底とする指数関数を使う理由はここにあります。

このように微分積分で用いる指数関数は,底が \(e\) であることが圧倒的に多いのですが,底が \(e\) 以外の指数関数はない...という訳ではないので,例えば \(a^x\) の導関数の求め方も知っておく必要があります。基礎数学で \(a^{\log_a b} = b\) という関係を学んだことは覚えているでしょうか?これを使えば,\(a = e^{\log a}\) が成り立ちます。したがって

\[(a^x)'\begin{array}[t]{l} = \left\{\left(e^{\log a}\right)^x\right\}' \\ = \left\{e^{x\log a}\right\}' \\ = e^{x\log a} \cdot (x\log a)' \\ = \left(e^{\log a}\right)^x \cdot \log a \\ = a^x \log a \end{array}\]

指数関数のの導関数

\[(e^x)' = e^x\ \mbox{,}\ (a^x)' = a^x\log a\]

対数関数の導関数

最後は,対数関数の導関数です。指数関数と同様,底が \(e\) である自然対数からスタートしましょう。

\[\begin{array}[t]{l} (\log x)' \\ \displaystyle = \lim_{h \to 0} \frac{\log(x + h) - \log x}{h} \\ \displaystyle = \lim_{h \to x} \frac{\log \displaystyle \frac{x + h}{x}}{h} \\ \displaystyle = \lim_{h \to 0} \frac{1}{h} \cdot \log\left(1 + \frac{h}{x}\right) \\ \displaystyle = \lim_{h \to 0} \frac{x}{h} \cdot \log\left(1 + \frac{h}{x}\right) \cdot \frac{1}{x} \\ \displaystyle = \lim_{h \to 0} \log\left(1 + \frac{h}{x}\right)^{\frac{x}{h}} \cdot \frac{1}{x} \\ \displaystyle = 1 \cdot \frac{1}{x} \\ \displaystyle = \frac{1}{x} \end{array}\]

底が \(e\) 以外の対数関数の場合には,底を変換します。

\[(\log_a x)'\begin{array}[t]{l} \displaystyle = \left(\frac{\log x}{\log a}\right)' \\ \displaystyle =\frac{\displaystyle\frac{1}{x}}{\log a} \\ \displaystyle = \frac{1}{x\log a} \end{array}\]

対数関数の導関数

\[\displaystyle (\log x)' = \frac{1}{x}\ \mbox{,}\ (\log_a x)' = \frac{1}{x\log a}\]

問題演習

課題1 次の関数を微分しましょう。

  1. \(\displaystyle f(x) = \sin x \cos x\) 解答 隠す
  2. \(\displaystyle f(x) = \frac{1}{\sin x}\) 解答 隠す
  3. \(\displaystyle f(x) = \frac{\cos x}{\sin x}\) 解答 隠す
  4. \(\displaystyle f(x) = \frac{\sin x}{1 + \cos x}\) 解答 隠す
  5. \(\displaystyle f(x) = e^x \sin x\) 解答 隠す
  6. \(\displaystyle f(x) = e^x (\sin x + \cos x)\) 解答 隠す
  7. \(\displaystyle f(x) = x \log x\) 解答 隠す
  8. \(\displaystyle f(x) = e^x (x^2 + 1)\) 解答 隠す
  9. \(\displaystyle f(x) = e^x \log x\) 解答 隠す
  10. \(\displaystyle f(x) = \frac{\log x}{x}\) 解答 隠す
Last modified: Friday, 5 March 2021, 5:00 PM