放物線の頂点の軌跡
本日のお題
\(k\) を定数として,2次関数 \[y = x^2 - 2kx + 1 \tag{1}\]
のグラフを考えます。
定数 \(k\) の値が変化するとき,関数 \((1)\) のグラフの頂点 \(\mbox{P}\) はどのように変化するでしょうか? 頂点 \(\mbox{P}\) の軌跡の方程式を求めましょう。
前回表示したグラフと同様のものを,まず,示します。
\(k = \)
グラフを動かせば,頂点の変化の様子はほぼ分かります。問題の本筋からはずれますが,このようなグラフ描画ツールの威力は凄いものです ― 私は,GeoGebra を好んで使っておりまして,自分の学生時代にもあったら,もう少しシッカリ数学を理解できたのではないか,と残念に思います(な~んてね,どの道勉強はしなかったでしょう
さて,話を元に戻して・・・まずは頂点の座標を求めましょう。\((1)\) を変形すると \[y = (x - k)^2 - k^2 + 1\] となるので,\(\mbox{P}\) の座標を \((x,\ y)\) とおけば
\[\left\{\begin{array}{l} x = k \\ y = -k^2 + 1 \end{array}\right.\ \tag{2}\] となります。さて,ここで頂点の動きを,上の図より分かりやすく表示してみようと思います。
Animation Start ボタンをクリックすると,\(k\) の値が \(-2.5\) から \(2.5\) まで変化して,頂点の軌跡を図示します。
Reset ボタンをクリックすると,初期状態に戻ります。
描かれた放物線を見ると,どうやら放物線のようです。
関数 \(y = x^2 - 2kx + 1\) のグラフと比較して見ると,頂点の軌跡ではないか?と考えられる放物線の頂点は \((0,\ 1)\) にありそうだし,開き具合から \(x^2\) の係数は \(-1\) のように見えるので,あくまで見た目ですが,頂点の軌跡の方程式は \[y = -x^2 + 1\] ではないか・・・という推測ができます。
それでは,この推測が正しいことを,式により示していきましょう。
\((2)\) の式は \(k\) による媒介変数表示 と考えられます。ですから,本当は \((2)\) をお題の解答と言ってしまっても宜しいのです。
ただし,ここは上の推測が正しいことを確かめたいので,\(k\) を消去して \(xy\) の方程式に直します。すると, \[y = -x^2 + 1\] という方程式が得られ,これで OK です
練習問題
1 \(k\) を定数として,2次関数 \(y = x^2 + 2kx + k + 2\) のグラフについて,定数 \(k\) の値が変化するときの頂点 \(\mbox{P}\) の軌跡の方程式を求めましょう 解答 隠す
2 \(k\) を定数として,2次関数 \(y = x^2 - (2k - 1)x + k^2 - k + 1\) のグラフについて,定数 \(k\) の値が変化するときの頂点 \(\mbox{Q}\) の軌跡の方程式を求めましょう 解答 隠す
3 \(k\) を定数として,2次関数 \(y = x^2 + 3kx + k^2 - k\) のグラフについて,定数 \(k\) の値が変化するときの頂点 \(\mbox{R}\) の軌跡の方程式を求めましょう 解答 隠す