11 平均値の定理とロピタルの定理

本時の目標

  1. 連続関数の性質を用いてロルの定理を導くことができる。
  2. ロルの定理から平均値の定理を導くことができる。
  3. 平均値の定理からコーシーの平均値の定理を導くことができる。
  4. コーシーの平均値の定理からロピタルの定理を導くことができる。
  5. ロピタルの定理を用いて,不定形の極限値を求めることができる。

ロルの定理

ロルの定理

関数 \(f(x)\) が,\(a \leqq x \leqq b\) で連続,\(a < x < b\) で微分可能であり,さらに \(f(a) = f(b) = 0\) を満たすとき

\(f'(c) = 0 \quad (a < c < b)\)

を満たす \(c\) が存在する。

ロルの定理の条件を満たすような関数の例を,下図に示します。

\(x\)

\(y\)

接線 

この関数は,\(a \leqq x \leqq b\) で連続です。\(a < x < b\) で滑らか ― つまり微分可能です。さらに,区間 \(a \leqq x \leqq b\) の両端 \(a\)\(b\) で関数の値は \(0\) です。

\(f'(c) = 0\ (a < c < b)\) とは,上のグラフの太線部分に接線が \(x\) 軸と平行になる点があるということです。グラフの下の接線をチェックすると \(x = a\) での接線が引かれます。スライダーを動かすと接点が動くので,接線が \(x\) 軸と平行になる点を見つけましょう。

この関数の場合には,極大点と極小点の2点で \(x\) 軸に平行な接線を引くことができる・・・と分かりますね。

証 明 ロルの定理を証明しましょう。

第2回の授業で,連続関数の性質として,中間値の定理と併せて最大値と最小値の定理を紹介しました。この定理を使います。

関数 \(f(x)\)\(a \leqq x \leqq b\) において連続ならば,\(f(x)\)\(a \leqq x \leqq b\) において最大値と最小値をもちます。

さて,関数 \(f(x)\)\(a \leqq x \leqq b\) で恒等的に \(0\) である場合には,\(a < x < b\) の任意の \(x\)\(f'(x) = 0\) が成り立つので,\(f(x)\) が恒等的に \(0\) ではない場合を考えます。すると,\(f(x)\) は,\(a \leqq x \leqq b\) で連続であることにから,最大値と最小値の定理により \(a < x < b\) の区間で \(0\) ではない最大値または最小値をとることが分かります。

今,\(f(x)\) は \(x = c\quad (a < c < b)\) で最大値をとるとしましょう。\(f(c)\) が最大値ですから \(c\) の近くの \(x\) に対して \(f(x) - f(c) \leqq 0\) が成り立ちます。したがって

\(x < c\) ならば \(\displaystyle \frac{f(x) - f(c)}{x - c} \geqq 0\)
\(x > c\) ならば \(\displaystyle \frac{f(x) - f(c)}{x - c} \leqq 0\)

つまり \(\left\{\begin{array}{l} \displaystyle \lim_{x \to c - 0} \frac{f(x) - f(c)}{x - c} \geqq 0 \\ \displaystyle \lim_{x \to c + 0} \frac{f(x) - f(c)}{x - c} \leqq 0 \end{array}\right.\) です。

ところで,\(f(x)\)\(a < x < b\) で微分可能でした。したがって,極限値

\(\displaystyle \lim_{x \to c} \frac{f(x) - f(c)}{x - c}\)

が存在するので

\(\displaystyle \lim_{x \to c - 0} \frac{f(x) - f(c)}{x - c} = \lim_{x \to c + 0} \frac{f(x) - f(c)}{x - c}\)

でなければなりません。よって

\(\displaystyle f'(c) = \lim_{x \to c} \frac{f(x) - f(c)}{x - c} = 0\)

となります。

\(f(x)\)\(a < x < b\) の区間で最小値をもつ場合も,同様に \(f'(c) = 0\quad(a < c < b)\) である \(c\) の存在を示すことができます。

平均値の定理

平均値の定理

関数 \(f(x)\) が,\(a \leqq x \leqq b\) で連続,\(a < x < b\) で微分可能なとき

\(\displaystyle f'(c) = \frac{f(b) - f(a)}{b - a}\quad (a < c < b)\)

を満たす \(c\) が存在する。

ロルの定理と同様に,まず,平均値の定理を図形的に見てみましょう。下の図で青線は関数 \(f(x)\) のグラフです。また,点 \(\mbox{A}\left(a\mbox{,}f(a)\right)\),点 \(\mbox{B}\left(b\mbox{,}f(x)\right)\) です。\(\displaystyle \frac{f(b) - f(a)}{b - a}\) は,\(x\) の値が \(a\) から \(b\) に変化したときの関数 \(f(x)\) の平均変化率ですから,直線 \(\mbox{AB}\) の傾きです。

\(x\)

\(y\)

したがって,\(\displaystyle f'(c) = \frac{f(b) - f(a)}{b - a}\quad(a < c < b)\quad\)を満たす \(c\) があるとは,直線 \(\mbox{AB}\) と平行な接線を引くことのできる点があるということです。

ロルの定理から証明することができます。

証 明

次の関数 \(F(x)\) を考えます。

\(\displaystyle F(x) = f(b) - f(x) - \frac{f(b) - f(a)}{b - a}(b - x)\)

\(f(x)\)\(a \leqq x \leqq b\) で連続,\(a < x < b\) で微分可能であることから,\(F(x)\) も同様に \(a \leqq x \leqq b\) で連続,\(a < x < b\) で微分可能です。さらに,\(F(a) = F(b) = 0\) が成り立ちます。つまり,\(F(x)\) はロルの定理の条件を満たしています。したがって

\(\displaystyle F'(c) = -f'(c) + \frac{f(b) - f(a)}{b - a} = 0\)

を満たす \(c\)\(a < x < b\) の区間に存在します。よって

\(\displaystyle f'(c) = \frac{f(b) - f(a)}{b - a}\quad(a < c < b)\)

を満たす \(c\) が存在します。

コーシーの平均値の定理

コーシーの平均値の定理

関数 \(f(x)\)\(g(x)\) が,\(a \leqq x \leqq b\) で連続,\(a < x < b\) で微分可能,さらに \(a < x < b\)\(g'(x) \ne 0\) を満たすとき

\(\displaystyle \frac{f(b) - f(a)}{g(b) - g(a)} = \frac{f'(c)}{g'(c)}\quad (a < c < b)\)

を満たす \(c\) が存在する。

証 明

次の関数 \(F(x)\) を考えます。

\(F(x) = \left\{g(b) - g(a)\right\}f(x) - \left\{f(b) - f(a)\right\}g(x)\)

\(F(x)\) は 平均値の定理の条件を満たし,さらに

\(F(a) = F(b) = f(a)g(b) - f(b)g(a)\)

となるので,平均値の定理を用いて

\(F'(c) = 0 \quad (a < c < b)\)

を満たす \(c\) の存在することが分かります。

次に,\(a < x < b\)\(g'(x) \ne 0\) ならば \(g(a) \ne g(b)\) であることを示します。背理法という証明方法を使います。\(g(a) = g(b)\) であると仮定しましょう。すると,平均値の定理から

\(g'(c) = 0 \quad (a < c < b)\)

を満たす \(c\) が存在します。ところが,これは \(g'(x) \ne 0\) であることに反するので,\(g(a) \ne g(b)\) であると言えます。

最後に,\(g(a) \ne g(b)\)\(g'(c) \ne 0\) に留意して \(F'(c) = 0\) を書き換えましょう。

\(\begin{array}{c} \left\{g(b) - g(a)\right\}f'(c) - \left\{f(b) - f(a)\right\}g'(c) = 0 \\ \left\{f(b) - f(a)\right\}g'(c) = \left\{g(b) - g(a)\right\}f'(c) \\ \displaystyle \mbox{∴}\quad \frac{f(b) - f(a)}{g(b) - g(a)} = \frac{f'(c)}{g'(c)} \end{array}\)

ロピタルの定理

ロピタルの定理

関数 \(f(x)\)\(g(x)\) とが,\(a\) の近くで連続かつ微分可能であり,\(\displaystyle \lim_{x \to a} f(x) = \lim_{x \to a} g(x) = 0\) または \(\displaystyle \lim_{x \to a} \left|\,f(x)\,\right| = \lim_{x \to a} \left|\,g(x)\,\right| = \infty\) を満たし,\(\displaystyle \frac{f'(x)}{g'(x)}\) が収束するならば

\(\displaystyle \lim_{x \to a} \frac{f(x)}{g(x)} = \lim_{x \to a} \frac{f'(x)}{g'(x)}\)

が成り立つ。

証 明

\(f(x)\)\(g(x)\)\(x = a\) の近くで連続だから,\(\displaystyle \lim_{x \to a} f(x) = \lim_{x \to a} g(x) = 0\) のとき,\(f(a) = g(a) = 0\) です。したがって,コーシーの平均値の定理より次の式を満たす \(c\)\(a\)\(x\) の間に存在します。

\(\displaystyle \frac{f(x)}{g(x)} = \frac{f(x) - f(a)}{g(x) - g(a)} = \frac{f'(c)}{g'(c)}\)

\(c\)\(a\)\(x\) の間に挟まれているので,\(x \to a\) のとき \(c \to a\) です。したがって

\(\displaystyle \lim_{x \to a} \frac{f(x)}{g(x)} = \lim_{x \to a} \frac{f'(x)}{g'(x)}\)

が成り立ちます。

次に,\(\displaystyle \lim_{x \to a} \left|\,f(x)\,\right| = \lim_{x \to a} \left|\,g(x)\,\right| = \infty\) のときを考えましょう。

\(\displaystyle F(x) = \frac{1}{f(x)}\mbox{,}G(x) = \frac{1}{g(x)}\)

とすると,\(\displaystyle \lim_{x \to a} F(x) = \lim_{x \to a} G(x) = 0\) を満たすので

\(\displaystyle \lim_{x \to a} \frac{F(x)}{G(x)} = \lim_{x \to a} \frac{F'(x)}{G'(x)}\)

が成り立ちます。

\(\displaystyle \left\{F'(x)\right\}' = -\frac{f'(x)}{\left\{f(x)\right\}^2}\mbox{,}\left\{G(x)\right\}' = -\frac{g'(x)}{\left\{g(x)\right\}^2}\)

となるので

\(\begin{array}{c} \displaystyle \lim_{x \to a} \frac{g(x)}{f(x)} = \lim_{x \to a} \frac{f'(x)}{g'(x)} \cdot \frac{\left\{g(x)\right\}^2}{\left\{f(x)\right\}^2} \\ \displaystyle \mbox{∴} \quad \lim_{x \to a} \frac{f(x)}{g(x)} = \lim_{x \to a} \frac{f'(x)}{g'(x)} \end{array}\)

かなり乱暴で,細かなところを無視した証明ですが,まぁ雰囲気をつかんでください f^^;

不定形の極限値

例題1 次の極限値を求めましょう。

1.\(\displaystyle \quad \lim_{x \to 0} \frac{1 - \cos x}{x}\)

\(\displaystyle \lim_{x \to 0} \frac{1 - \cos x}{x} \begin{array}[t]{l} \displaystyle = \lim_{x \to 0} \frac{\sin x}{1} \\ = 0 \end{array}\)

2.\(\displaystyle \quad \lim_{x \to \infty} \frac{\log x}{e^x}\)

\(\displaystyle \lim_{x \to \infty} \frac{\log x}{e^x} \begin{array}[t]{l} \displaystyle = \lim_{x \to \infty} \frac{1}{x e^x} \\ = 0 \end{array}\)

3.\(\displaystyle \quad \lim_{x \to +0} x \log x\)

\(\displaystyle \lim_{x \to +0} x \log x\begin{array}[t]{l} \displaystyle = \lim_{x \to +0} \frac{\log x}{\frac{1}{x}} \\ \displaystyle = \lim_{x \to +0} \frac{\frac{1}{x}}{-\frac{1}{x^2}} \\ \displaystyle = \lim_{x \to +0} (-x) \\ = 0 \end{array}\)

課題1

第1回の課題1の極限値を,ロピタルの定理を用いて求めましょう。

  1. \(\displaystyle \lim_{x \to 2} \frac{x^2 - 5x + 6}{x - 2}\) 解答 隠す
  2. \(\displaystyle \lim_{x \to -1} \frac{2x^2 - 3x - 5}{3x^2 + 4x + 1}\) 解答 隠す
  3. \(\displaystyle \lim_{x \to -2} \frac{x^3 + 8}{x + 2}\) 解答 隠す
  4. \(\displaystyle \lim_{x \to 1} \frac{x^3 + 2x^2 - 2x - 1}{x^2 - 1}\) 解答 隠す
  5. \(\displaystyle \lim_{x \to 3} \frac{x^3 - 6x^2 + 11x - 6}{x^3 - 7x - 6}\) 解答 隠す
  6. \(\displaystyle \lim_{x \to 0} \frac{\sin^2{x}}{1 - \cos{x}}\) 解答 隠す
  7. \(\displaystyle \lim_{x \to \infty} \frac{3x^2 + 2x + 1}{x^2 + 2x + 3}\) 解答 隠す
  8. \(\displaystyle \lim_{x \to \infty} \frac{x^3 + 1}{x^2 + 3x + 2}\) 解答 隠す
  9. \(\displaystyle \lim_{x \to \infty} \frac{10x^2 + 5x - 3}{x^3 + 3x^2 + 3x + 1}\) 解答 隠す
  10. \(\displaystyle \lim_{x \to -\infty} \frac{x^3 - x + 6}{x^2 + 4x + 2}\) 解答 隠す
  11. \(\displaystyle \lim_{x \to 2} \frac{\sqrt{x + 7} - 3}{x - 2}\) 解答 隠す
  12. \(\displaystyle \lim_{x \to 1} \frac{x - 1}{\sqrt{x} - \sqrt{2 - x}}\) 解答 隠す
  13. \(\displaystyle \lim_{x \to -1} \frac{\sqrt{x + 2} + x}{\sqrt{x + 5} - 2}\) 解答 隠す

課題2

次の極限値を求めましょう。

  1. \(\displaystyle \lim_{x \to \infty}\frac{e^x}{x}\) 解答 隠す
  2. \(\displaystyle \lim_{x \to \infty}\frac{\log x}{x}\) 解答 隠す
  3. \(\displaystyle \lim_{x \to 0}\frac{e^x - \cos x}{x}\) 解答 隠す
  4. \(\displaystyle \lim_{x \to 0}\frac{1 - \cos x}{x^2}\) 解答 隠す
  5. \(\displaystyle \lim_{x \to 0}\left(\frac{1}{x} - \frac{1}{\sin x}\right)\) 解答 隠す
  6. \(\displaystyle \lim_{x \to 0}\frac{\sin^{-1}x}{x}\) 解答 隠す
  7. \(\displaystyle \lim_{x \to 0}\frac{\sin x}{e^x - e^{-x}}\) 解答 隠す

【参考図書】数学辞典(朝倉書店)/理工系入門 微分積分(裳華房)

Last modified: Friday, 5 March 2021, 5:03 PM