本時の目標

  1. 2次方程式について解を求めることができる。
  2. 判別式を用いて,2次方程式の解を判別することができる。
  3. 虚数単位 \(i\)\(i^2 = -1\) で定義される数であることを理解し,複素数の四則演算を計算することができる。

2次方程式の解

課題1

次の2次方程式の解を求めましょう。

  1. \(x^2 - x - 6 = 0\) 解答 隠す
  2. \(2x^2 + x - 2 = 0\) 解答 隠す
  3. \(9x^2 - 12x + 4 = 0\) 解答 隠す
  4. \(x^2 + 2x + 2 = 0\) 解答 隠す
  5. \(44x^2 + 131x - 39 = 0\) 解答 隠す

GeoGebra で方程式の解を求めることもできます。

Solve

  • 書式:Solve(方程式〔,変数〕)
  • 命令:方程式の解を求める。
  • 例1:\(\mbox{Solve}(x^2 = 4x)\)
  • 出力:\(\{x = 4,\ x = 0\}\)
  • 例2:\(\mbox{Solve}(\{x = 4x + y,\ y + x = 2\},\ \{x,\ y\})\)
  • 出力:\(\{\{x = -1,\ y = 3\}\}\)

ただし,スマホ版の Graphing Calculator はグラフを描くということを目的としているので,実数の解しか求めてくれません。例えば,課題1 の4番を解こうとすると「{ }」つまり空集合を返します。

Desk Top 版であれば,CAS ビューで「CSolve」コマンドを使って虚数解を求めることができます。

また,グラフィックスビューでは未知変数として使える文字が \(x\)\(y\)\(z\) のみです。それに対して,CAS ビューでは「\(\mbox{Solve}(ax + 1 = 0,\ a)\)」のように変数を明示することで,その他の文字について解くこともできます。この例では,方程式 \(ax + 1 = 0\)\(a\) について解きます。

課題1 の5番のように係数が大きい場合には,GeoGebra を使うのも有効です。

2次方程式の解の公式

2次方程式 \(ax^2 + bx + c = 0\) の解は

\[\displaystyle x = \frac{-b \pm \sqrt{b^2 - 4ac}}{2a}\]

で与えられる。

2次方程式の解の判別

また,2次関数の解の公式から \(D = b^2 - 4ac\) の符号により,解は次のように分類されることが分かります。

2次方程式の解の判別

\(x\) の2次方程式 \(ax^2 + bx + c = 0\ \cdots\ (♪)\) について,\(D = b^2 - 4ac\) とすると

\(D > 0\ \) のとき, \((♪)\) は相異なる2つの実数解をもつ。
\(D = 0\ \) のとき, \((♪)\) は重解(実数解)をもつ。
\(D < 0\ \) のとき, \((♪)\) は相異なる2つの虚数解をもつ。

\(D = b^2 - 4ac\) を2次方程式 \((♪)\)判別式 といいます。

課題2

次の2次方程式の解が,「相異なる2つの実数解」「重解(実数)」「相異なる2つの虚数解」のいずれであるかを判別しましょう。

  1. \(2x^2 + 2\sqrt{6}x + 3 = 0\) 解答 隠す
  2. \(16x^2 - 8x + 2 = 0\) 解答 隠す
  3. \(16x^2 - 40x + 25 = 0\) 解答 隠す
  4. \(25x^2 + 50x + 36 = 0\) 解答 隠す
  5. \(49x^2 - 28x + 3 = 0\) 解答 隠す

例題1

次の問いに答えましょう。

  1. \(k\) を実数の定数とします。\(x\) の2次方程式\[x^2 + 2x + k = 0\]の解を判別しましょう。
  2. \(k\) を実数の定数とします。\(x\) の2次方程式\[2x^2 - x + 2k - 1 = 0\]が異なる2つの実数解をもつように,定数 \(k\) の値の範囲を定めましょう。

例題1-1 解答

判別式を考えます。

\[D = 2^2 - 4k = 4(1 - k)\]

(1) \(D > 0 \) のとき\(\quad\) \(1 - k > 0\)
∴ \(k < 1\)
(2) \(D = 0\) のとき\(\quad\) \(1 - k = 0\)
∴ \(k = 1\)
(3) \(D < 0\) のとき\(\quad\) \(1 - k < 0\)
∴ \(k > 1\)

これより,2次方程式 \(x^2 + 2x + k = 0\) の解は次のように判別されます。

\(k < 1\) のとき\(\quad\) 相異なる2つの実数解をもつ
\(k = 1\) のとき\(\quad\) 実数の重解をもつ
\(k > 1\) のとき\(\quad\) 相異なる2つの虚数解をもつ

例題1-2 解答

1-1 と同様に,判別式を考えます。

相異なる2つの実数解をもつ ⇔ \(D > 0\)

\(D \begin{array}[t]{l} = (-1)^2 - 4\cdot 2\cdot(2k - 1) \\ = 9 - 16k > 0 \end{array}\)
∴ \(\displaystyle k < \frac{9}{16}\)

課題3

次の問いに答えましょう。

  1. \(k\) を実数の定数とする。\(x\) の2次方程式 \(x^2 - x + 2k + 1 = 0\) の解を判別しましょう。 解答 隠す
  2. \(k\) を実数の定数とする。\(x\) の2次方程式 \(3x^2 + 2x + k = 0\) が重解をもつように定数 \(k\) の値を定め,そのときの重解を求めましょう。 解答 隠す

虚数単位 \(i\) と複素数の計算

実数を特徴づけるものとして,次の性質がありました。

実数 \(x\) について \(x^2 \geqq 0\) が成り立つ。

実数の2乗が負になることはない,ということです。したがって,\(x\) の2次方程式

\(x^2 + 1 = 0\)

について,左辺は \(0\) 以上のものに正の数を加えているので,左辺の値が \(0\) になることはなく,実数の中に解は存在しませんでした。このような方程式を解くために,虚数を考えることにしました。

複素数・虚数

\(a\)\(b\) を実数,\(i^2 = -1\) とするとき,\(a + bi\) の形で書ける数を複素数という。

\(b = 0\) であるとき,この数を実数といい,\(b \ne 0\) であるとき,この数を虚数という。

また,複素数 \(z = a + bi\) について,\(a\)\(z\)実部 といい,\(b\)\(z\)虚部 という。

虚数を考えることにより,すべての2次方程式が解をもち,私たちはその解を求めることができるようになりました。

さて,上の説明のとおり,実数の集合に虚数の集合を加えた数の集合を複素数と呼びますが,ここからは,複素数の計算について復習しましょう。

複素数の加法・減法

まず,足し算と引き算です。次のように,実部同士,虚部同士の足し算・引き算をします。

\[\begin{array}{l} (a_1 + b_1i) + (a_2 + b_2i) = (a_1 + a_2) + (b_1 + b_2)i \\ (a_1 + b_1i) - (a_2 + b_2i) = (a_1 - a_2) + (b_1 - b_2)i \end{array}\]

例題2-1

1. \(\begin{array}[t]{l}(2 + 3i) + (-1 - 2i) \\ = (2 - 1) + (3 - 2)i \\ = 1 + i \end{array} \)
2. \(\begin{array}[t]{l}(3 - i) - (5 + 2i) \\ = (3 - 5) + (-1 - 2)i \\ = -2 - 3i \end{array}\)

複素数の乗法

続いて,掛け算です。\(i\) を文字のように扱って,\(i\) の多項式として計算し,\(i^2\) が現れる度に \(i^2 = -1\) を使って書き換えます。

例題2-2

\[\begin{array}[t]{l} (1 + i)\times(1 - 3i) \\ = 1 - 3i + i - 3i^2 \\ = 1 - 3i + i -3 \times (-1) \\ = 4 - 2i \end{array}\]

複素数の除法

\((a + bi)(a - bi) = a^2 + b^2\) を用いて,除数(分母)から \(i\) を取り除きます。

例題2-3

\[\begin{array}{l} (2 - i) \div (1 + 2i) \\ \displaystyle = \frac{2 - i}{1 + 2i} \\ \displaystyle = \frac{(2 - i)(1 - 2i)}{(1 + 2i)(1 - 2i)} \\ \displaystyle = \frac{2 - 5i + 2i^2}{1 - 4i^2} \\ \displaystyle = \frac{-5i}{5} \\ = -i \end{array}\]

\(\mbox{GeoGebra}\) による複素数の計算

\(\mbox{GeoGebra}\) では,\(\mbox{CAS}\) ビューに式を入力すると,下の図のように複素数を簡単にしてくれます。1つだけ覚えておいてください。虚数単位の「\(i\)」は ALT + i で入力します。

課題4

次の複素数の計算をしましょう。

  1. \(\displaystyle (2 + 3i) + (5 - 4i)\) 解答 隠す
  2. \(\displaystyle (-4 + 5i) - (3 - 2i)\) 解答 隠す
  3. \(\displaystyle (2 + 3i)(3 + 2i)\) 解答 隠す
  4. \(\displaystyle (3 - 2i)(-2 + i)\) 解答 隠す
  5. \(\displaystyle (\sqrt{5} - 2i)^2\) 解答 隠す
  6. \(\displaystyle \frac{i}{2 - 3i}\) 解答 隠す
  7. \(\displaystyle \frac{2 - i}{2 + i}\) 解答 隠す
  8. \(\displaystyle \frac{3 + 2i}{1 - 2i}\) 解答 隠す

発展問題

課題5

\(x\)\(y\) を実数の定数とします。次の等式を満たすように,\(x\)\(y\) の値を定めましょう。

  1. \((x + y) + (x + 2y)i = 3 + 4i\) 解答 隠す
  2. \((1 - 2i)x + (2 + i)y = (x + 2) + (y + 2)i\) 解答 隠す
  3. \((x + i)(y - 2i) = xy + 2x - 2y\) 解答 隠す

課題6

次の方程式を解きましょう。

  1. \(x^3 - 2x^2 - x + 2 = 0\)
  2. \(x^3 + 2x^2 - 5x - 6 = 0\)
  3. \(x^3 + 2x^2 - 4x - 8 = 0\)
  4. \(6x^3 + 7x^2 - x - 2 = 0\)
  5. \(2x^3 - x^2 - 7x + 6 = 0\)
  6. \(x^3 - 1 = 0\)
  7. \(x^3 - 3x^2 + x + 1 = 0\)
  8. \(2x^3 + 5x^2 - x - 4 = 0\)
  9. \(x^3 - x - 6 = 0\)
  10. \(2x^3 + 5x^2 - x + 6 = 0\)

解答を開く 解答を閉じる

最終更新日時: 2021年 03月 9日(火曜日) 17:13