23 広義積分

本時の目標

  1. 具体的な事例を通して「広義の積分」の意味を知る。
  2. 与えられた定積分に関して,「広義の積分」であるかを判断することができる。
  3. 「広義の積分」の求め方を知り,その値を求めることができる。

広義積分のための準備

課題1 次の問いに答えましょう。

  1. \(\displaystyle \int_1^4 \frac{1}{\sqrt{x}}\ dx\) を求めましょう。 解答 隠す
  2. \(t\)\(0 < t < 1\) の範囲にあるとき,\(\displaystyle \int_t^4 \frac{1}{\sqrt{x}}\ dx\) を求めましょう。 解答 隠す
  3. \(\displaystyle \lim_{t \to +0}\int_t^4 \frac{1}{\sqrt{x}}\ dx\) を求めましょう。 解答 隠す

さて,定積分 \(\displaystyle \int_a^b f(x)\,dx\) の値は \(a \leqq x \leqq b\)\(f(x) > 0\) であれば,\(a \leqq x \leqq b\) における \(f(x)\) のグラフと \(x\) 軸とで囲まれた部分の面積に等しくなります。したがって,1.で求めた \(2\) という値は,下図の青色の部分の面積です。

同様に,2.で求めた \(4 - 2\sqrt{t}\) は下の緑色の部分の面積です。

それでは,3.で求めた極限値にはどのような意味があるでしょうか? 考えてみましょう。\[\lim_{t \to +0} \int_t^4 \frac{1}{\sqrt{x}}\,dx\]上の図で,\(t\) の位置が \(y\) 軸に限りなく近づくときの,緑色部分の面積の極限値です。実際に,\(t\) の値を変化させてみましょう。下の図では,スライダーを動かすと,\(t\) の値を \(0 < t \leqq 1\) の範囲で変えることができます。

\(x\)

\(y\)

\(t:0\) \(1\)

スライダーを \(1\) から \(0\) に向かって動かしましょう。\(t \to +0\) のとき図中の緑色部分の面積の値が \(4\) に収束するということです。この面積は,\(\displaystyle \lim_{x \to +0} \frac{1}{\sqrt x} \,dx = \infty\) であるにもかかわらず,有限値に収束するのですね。

有限区間における広義積分

これまで,ある関数を \(a\) から \(b\) まで積分するという場合,\(a \leqq x \leqq b\) で定義された連続関数のみを扱ってきました。ところが,上で扱った関数 \(\displaystyle f(x) = \frac{1}{\sqrt{x}}\) は,\(x = 0\) で定義されておらず,しかも \(\displaystyle \lim_{x \to +0} = \infty\) です。そこで,本時は\[\int_0^4 \frac{1}{\sqrt{x}} \,dx \tag{♩}\]のように,これまでの考え方では扱えなかった定積分を定義していきます。

(♩) の計算方法は,課題1 の 2. 及び 3. で計算したとおりです。\[\int_0^4 \frac{1}{\sqrt{x}} \,dx = \lim_{t \to +0} \int_t^4 \frac{1}{\sqrt{x}} \,dx\]\(0\) より少し大きい数 \(t\)(勿論,使う文字は任意です)をとり,\(t\) から \(4\) まで積分した値について \(t\) を右から \(0\) に近づけた極限を考えます。このような積分を 広義積分 といいます。

例題1 定積分 \(\displaystyle \int_0^1 \frac{dx}{\sqrt[3]{x^2}}\) を求めましょう。

解 答

広義積分であるかどうかは,自分で判断しなければなりません。関数 \(\displaystyle f(x) = \frac{1}{\sqrt[3]{x^2}}\)\(x = 0\) で定義されないので,この定積分は広義積分になります。\[\int_0^1 \frac{dx}{\sqrt[3]{x^2}} \begin{array}[t]{l} \displaystyle = \lim_{t \to +0} \int_t^1 \frac{dx}{\sqrt[3]{x^2}} \\ \displaystyle = \lim_{t \to +0} \Big[3x^{\frac{1}{3}}\Big]_t^1 \\ \displaystyle = \lim_{t \to +0} 3\left(1 - t^{\frac{1}{3}}\right) \\ \displaystyle = 3 \end{array}\]

例題2 定積分 \(\displaystyle \int_0^1 \frac{dx}{x}\) を求めましょう

解 答

\[\displaystyle \int_0^1 \frac{dx}{x} \begin{array}[t]{l} \displaystyle = \lim_{t \to +0} \int_t^1 \frac{dx}{x} \\ \displaystyle = \lim_{t \to +0} \Big[\log |\,x\,|\Big]_t^1 \\ \displaystyle = \lim_{t \to +0} \left(\log 1 - \log t\right) \\ \displaystyle = \lim_{t \to +0} \log \frac{1}{t} \\ = \infty \end{array}\]発散する といいます。

課題2 次の定積分の値を求めましょう。

  1. \(\displaystyle \int_{0}^{2} \frac{1}{\sqrt{2 - x}} \,dx\) 解答 隠す
  2. \(\displaystyle \int_{0}^{1} \frac{x}{\sqrt{1 - x^2}} \,dx\) 解答 隠す
  3. \(\displaystyle \int_{0}^{1} \log x \,dx\) 解答 隠す

無限区間の積分

次に,積分区間が無限区間である定積分を考えましょう。この積分も広義積分の一つになります。例えば,\(\displaystyle \int_1^{\infty} \frac{1}{x^2} \,dx\) は,次のように定義します。\[\int_1^{\infty} \frac{1}{x^2} \,dx = \lim_{t \to \infty} \int_1^t \frac{1}{x^2} \,dx\]それでは,この積分を計算してみましょう。\[\int_1^{\infty} \frac{1}{x^2} \,dx \begin{array}[t]{l} \displaystyle = \lim_{t \to \infty} \int_1^t \frac{1}{x^2} \,dx \\ \displaystyle = \lim_{t \to \infty} \left[-\frac{1}{x}\right]_1^t \\ \displaystyle = \lim_{t \to \infty} \left(-\frac{1}{t} + 1\right) \\ = 1 \end{array}\]

課題3 次の定積分の値を求めましょう。

  1. \(\displaystyle \int_{1}^{\infty} \frac{1}{x^3} \,dx\) 解答 隠す
  2. \(\displaystyle \int_{1}^{\infty} e^{-x} \,dx\) 解答 隠す
  3. \(\displaystyle \int_{1}^{\infty} \frac{1}{\sqrt{x^3}} \,dx\) 解答 隠す
  4. \(\displaystyle \int_{0}^{\infty} \frac{1}{x^2 + 1} \,dx\) 解答 隠す
最終更新日時: 2021年 03月 5日(金曜日) 17:08