テキスト(3次関数のグラフ)
本時の目標
- 関数の増減と接線の傾きの関係を理解する。
- 導関数の符号から,関数の増減を判断することができる。
- 3次関数について,増減表を書くことができる。
- 3次関数について,増減表を基にグラフを描くことができる。
関数の増減と接線の傾き
下の図は,ある3次関数のグラフ(緑)です。グラフ上に点 \(\mbox{P}\) をとって,点 \(\mbox{P}\) における接線を赤(or 青 or オレンジ)で表示してあります。図の下のスライダーを動かすと,点 \(\mbox{P}\) をグラフ上で動かすことができます。
点 \(\mbox{P}\) を動かして,関数の値の増減と接線の傾きの関係を見ましょう。すると,次のことが分かります。
- 関数の値が増加している区間では,接線の傾きは正
- 関数の値が減少している区間では,接線の傾きは負
接線の傾きは微分係数に等しいので,導関数の符号を調べれば,関数のグラフがその区間で右上がりか,右下がりかが分かります。
増減表からグラフを描く
まずは,腕試し・・・
3次関数 \(f(x) = x^3 - 3x\) の増減を調べて,グラフを描きましょう。
上で,導関数の符号を調べれば,関数の増減を知ることができると分かりました。そこで,\(f'(x)\) のグラフを描いて,\(f'(x)\) の符号を調べましょう。\[\begin{eqnarray} f(x) &=& x^3 - 3x \\ f'(x) &=& 3x^2 - 3 \\ &=& 3(x + 1)(x - 1) \end{eqnarray}\]\(f'(x)\) のグラフを下に表示します。
正領域・負領域の表示
\(f'(x)\) の値が正になるか?負になるか?を知りたいので,正領域と負領域を塗り分けましょう。グラフの下のチェックボックスにチェックを付けてください。
見て分かるように,赤が正領域,青が負領域です。
グラフが \(x\) 軸に交わる点を境に \(f'(x)\) の値の正と負が変わるので,交点の座標がポイントになります。上で \(f'(x)\) を求めたとき因数分解したのは,そのためです。
これより,この関数の増減が次のとおりになっていると分かります。
\(\hspace{1em} x < -1\) | で増加\(\hspace{1em}\) |
\(\hspace{1em} -1 < x < 1\quad\) | で減少\(\hspace{1em}\) |
\(\hspace{1em} 1 < x\) | で増加\(\hspace{1em}\) |
このことを基に \(f(x) = x^3 - 3x\) のグラフを描くことができますが,グラフをより描きやすくするために増減表というものを書いておきましょう。下の表を増減表といいます。
\(\begin{array}{c|c|c|c|c|c} \hline x & \cdots & -1 & \cdots & 1 & \cdots \\ \hline f'(x) & + & 0 & - & 0 & + \\ \hline f(x) & \nearrow & 2 & \searrow & -2 & \nearrow \\ \hline \end{array}\)
増減表の書き方
- まず,\(f(x)\) を微分して,\(f'(x) = 0\) となる \(x\) の値を求め,増減表の上段に \(x\) のその値を書きます。
- 次に中段 ― \(f'(x)\) の段 ― です。\(f'(x)\) のグラフを \(f'(x) = 0\) となる \(x\) の値に注意をして描き,グラフを基に \(f'(x)\) の値を \(0\),\(+\),\(-\) で記入します。
- 最後に,下段 ― \(f(x)\) の段 ― です。\(f'(x)\) の符号を参考に \(f(x)\) の増減を \(\nearrow\) と \(\searrow\) で示し,\(f'(x) = 0\) となる \(x\) の値に対して \(f(x)\) の値を求めて,その値を記入します。
増減表を基にして,下の図のようなグラフが描けます。
極大と極小
このグラフの中で点 \((-1,\ 2)\) は,所謂山のテッペンです。数学的にキチンと言えば,関数の増減が増加から減少に転じる点となります。この状況を極大といい,「関数 \(f(x)\) は \(x = -1\) で極大値 \(2\) をとる」といいます。
同様に,点 \((1,-2)\) は,谷底であって,関数の増減が減少から増加に転じる点です。この状況を極小といい,「関数 \(f(x)\) は \(x = 1\) で極小値 \(-2\) をとる」といいます。また,極大値と極小値を合わせて極値といいます。
上のグラフで点 \(\mbox{P}\) を動かすと,極値をとる点では,接線の色がオレンジになります。つまり,接線の傾きが \(0\) になっていて,と言うことは \(f'(x) = 0\) が成り立っているということです。
関数 \(f(x)\) が \(x = a\) で極大値または極小値をとるならば,\(f'(a) = 0\) が成り立ちます。
ただし,逆は成り立ちません。つまり \(f'(a) = 0\) が成り立つからといって,\(f(x)\) が \(x = a\) で極値をとるわけではありません。この例は,直ぐ後に出てきます。
グラフを描いてみましょう
課題1
次の関数について,増減表を書き,その増減表を基にグラフを描きましょう。