本時の目標

  1. 因数定理による3次式の因数分解を確認する。
  2. 3次関数について,因数分解した式を用いて正領域と負領域を求めることができる。
  3. 上記を利用して,4次関数の増減表を書き,さらに4次関数のグラフを描くことができる。

今日のテーマは4次関数のグラフの描画です。4次関数の導関数は3次関数ですから,3次関数の符号を効率良く調べなければなりません。3次関数のグラフを描いた際には,導関数のグラフと \(x\) 軸との交点の座標を調べるため,まず導関数の因数分解を試みました。4次関数も同様です。それでは,3次関数の因数分解からスタートしましょう。

3次式の因数分解

課題1

3次式は,基本的に因数定理を用いて因数分解しました。確認として,次の式を因数分解しましょう。

\(f(x) = x^3 - x^2 - 6x - 4\)

忘れてしまった方は「02 剰余の定理と因数定理」で確認(復習)しましょう。

3次関数の正領域・負領域

例題1 次の不等式を解きましょう。

  1. \((x + 1)(x - 1)(x - 2) > 0\)
  2. \(x^3 - x^2 \geqq 0\)

1. \(y = (x + 1)(x - 1)(x - 2)\) のグラフを示します。と言っても,極値などは不要です。必要なことは,\(x\) 軸との交点であり,\(x\) の値のどの範囲で \(f(x)\) が正の値をとり,また,負の値をとるか?です。したがって、因数分解された式からグラフは即座に描けます。

グラフが \(x\) 軸の上側に存在する部分ですから

\(-1 < x < 1,\ 2 < x\)

2. 不等式の左辺を因数分解すると

\(x^2(x - 1) \geqq 0\)

となるので,関数 \(y = x^2(x - 1)\) のグラフを描きます。

因数分解したときに \(x\) の指数に2乗がついているので,\(x = 0\) の前後で符号の変化は起こらず,グラフは \(x = 0\)\(x\) 軸に接していることに注意しましょう。したがって,不等式の解は

\(x = 0,\ 1 \leqq x\)

課題2 次の不等式を解きましょう。

  1. \(x^3 + 2x^2 - x - 2 \leqq 0\) 解答 隠す
  2. \(x^3 - 2x^2 + x > 0\) 解答 隠す

4次関数のグラフ(極値を3回とる場合)

例題2 \(x\) の4次関数

\(\displaystyle f(x) = \frac{1}{4}x^4 - \frac{1}{3}x^3 - x^2\)

について,増減を調べてグラフを描きましょう。

\(f(x)\) を微分すると

\(f'(x) \begin{array}[t]{l} = x^3 - x^2 - 2x \\ = x(x + 1)(x - 2)\end{array}\)

となるので,\(f'(x)\) のグラフは下のとおりです。

これより,関数 \(f(x)\) の増減表を作ると下のようになります。

\(\begin{array}{c|c|c|c|c|c|c|c} \hline x & \cdots & -1 & \cdots & 0 & \cdots & 2 & \cdots \\ \hline f'(x) & - & 0 & + & 0 & - & 0 & + \\ \hline f(x) & \searrow & \displaystyle -\frac{5}{12} & \nearrow & 0 & \searrow & \displaystyle -\frac{8}{3} & \nearrow \\ \hline \end{array}\)

増減表を基にグラフを作成しましょう。

4次関数のグラフ(極値を1回とる場合)

例題3 \(x\) の4次関数

\(\displaystyle f(x) = \frac{1}{4}x^4 - x^3 + 1\)

について,増減を調べてグラフを描きましょう。

\(f(x)\) を微分すると

\(f'(x) \begin{array}[t]{l} = x^3 - 3x^2 \\ = x^2(x - 3)\end{array}\)

となるので,\(f'(x)\) のグラフは下のとおりです。

これより,関数 \(f(x)\) の増減表を作ると下のようになります。

\(\begin{array}{c|c|c|c|c|c} \hline x & \cdots & 0 & \cdots & 3 & \cdots \\ \hline f'(x) & - & 0 & - & 0 & + \\ \hline f(x) & \searrow & \displaystyle 1 & \searrow & \displaystyle -\frac{23}{4} & \nearrow \\ \hline \end{array}\)

増減表を基にグラフを作成しましょう。

\(x = 0\)\(x\) 軸に平行な接線 \(y = 1\) をもつことに留意しましょう。

問題演習

課題3

次の関数について,増減と極値の値を調べ,グラフを描きましょう。

  1. \(\displaystyle f(x) = x^4 -2x^2 + 1\) 解答 隠す
  2. \(\displaystyle f(x) = \frac{1}{4}x^4 - \frac{5}{3}x^3 + 3x^2\) 解答 隠す
  3. \(\displaystyle f(x) = 3x^4 - 4x^3\) 解答 隠す
  4. \(\displaystyle f(x) = -\frac{1}{4}x^4 - \frac{1}{3}x^3 + x^2\) 解答 隠す
  5. \(\displaystyle f(x) = -x^4 + \frac{4}{3}x^3 + 2x^2 - 4x\) 解答 隠す
最終更新日時: 2021年 03月 9日(火曜日) 17:23