テキスト(簡単な置換積分)

本時の目標

  1. 置換積分について理解し,\(\displaystyle \int (ax + b)^n \,dx\) などの関数の不定積分を求めることができる。
  2. 定積分 \(\displaystyle \int_0^1 (x + 1)^5 \,dx\) などの値を求めることができる。

合成関数の導関数の復習

\(y = \left(3x + 2\right)^5\)

上の関数は次のように微分しました。

\(u = 3x + 2\) とおくと,\(\displaystyle \frac{du}{dx} = 3\)
また,\(y = u^5\) となって

\(\displaystyle \frac{dy}{dx}\begin{array}[t]{l} \displaystyle = 5u^4 \cdot \frac{du}{dx} \\ = 5u^4 \cdot 3 \\ = 15u^4 \\ = 15(3x + 2)^4 \end{array}\)

\[\displaystyle \frac{dy}{dx} = \frac{dy}{du} \cdot \frac {du}{dx}\]

この関係(連鎖率)を利用したということです。

合成関数の導関数を積分に利用する

ところで,合成関数の導関数を利用して

\(\displaystyle \int (3x + 2)^5 \,dx\)

などの不定積分を求めることができないでしょうか? ここでは,そのようなことを考えてみます。

今,\(F'(x) = f(x)\) が成り立っているとし,\(F(x)\)\(x\) ではない変数 \(u\) で微分します。すると,合成関数の導関数から次の関係が成り立ちます。

\(\displaystyle \frac{d}{du}F(x) \begin{array}[t]{l} \displaystyle = \frac{d}{dx} F(x) \cdot \frac{dx}{du} \\ \displaystyle = F'(x) \cdot \frac{dx}{du} \\ \displaystyle = f(x) \cdot \frac{dx}{du} \\ \displaystyle = f(x) \cdot \frac{1}{\,\displaystyle \frac{du}{dx}\,}\end{array}\)

つまり\[\frac{d}{du}F(x) = f(x) \cdot \frac{1}{\,\displaystyle\frac{du}{dx}\,}\]が成り立っています。この式の両辺を \(u\) で積分して,左辺の \(F(x)\) を元に戻すと次の式が成り立っていることが分かります。

\(\displaystyle F(x) = \int f(x) \cdot \frac{1}{\,\displaystyle\frac{du}{dx}\,}\,du\)
∴ \(\displaystyle \int f(x) \,dx = \int f(x) \cdot \frac{1}{\,\displaystyle\frac{du}{dx}\,} \,du\)

さて,この式をどのように使うか?です。具体的に \(\displaystyle \int \left(3x + 2\right)^5 \,dx\) を求めることにより式の使い方を理解しましょう。

\((3x + 2)^5\) の展開は大変なので,\(u = 3x + 2\) とおくことにします。すると

\(\displaystyle f(x) = u^5,\quad \frac{du}{dx} = 3\) となって

\(\displaystyle \int (3x + 2)^5 \,dx = \int u^5 \cdot \frac{1}{3}\,du\)

が成り立ちます。この式の右辺は \(u\) についての積分ですから

\(\displaystyle \int (3x + 2)^5 \,dx \begin{array}[t]{l} \displaystyle = \frac{1}{3} \int u^5 \,du \\ \displaystyle = \frac{1}{3} \cdot \frac{1}{6}u^6 + C \\ \displaystyle = \frac{1}{18}(3x + 2)^6 + C \end{array}\)

このように,\((3x + 2)^5\) を展開せずに不定積分を求めることができます。

今のところは,\(x\) の1次式 \(ax + b\) を置き換えた場合は,\((ax + b)' = a\) なので,置き換えた後に \(x\) の係数の \(a\) で割っておけばよい!と覚えておけばイイでしょう。

置換積分による定積分の計算

上の不定積分の計算に倣って,下の定積分の値を求めましょう。\[I = \int_0^1(2x - 1)^4\,dx\]\(u = 2x - 1\) とおくと \(\displaystyle \frac{du}{dx} = 2\) となりますが\[I = \int_{\textcolor{red}{?}}^{\textcolor{red}{?}} u^4 \cdot\frac{1}{2}\,du\]積分区間の \([\,0,\ 1\,]\)\(x\) のものですから,積分変数が \(u\) に換わった上の式に用いることはできません。\(x\) の値が \(0\) から \(1\) に変化するとき,\(u\) の値は

\(u = 2\cdot 0 - 1 = -1\) から \(u = 2\cdot 1 - 1 = 1\)

に変化します。したがって\[I \begin{array}[t]{l} \displaystyle = \int_{\textcolor{red}{-1}}^{\textcolor{red}{1}} u^4 \cdot\frac{1}{2}\,du \\ \displaystyle = \left[\frac{1}{2}\cdot\frac{1}{5}u^5\right]_{-1}^1 \\ \displaystyle = \frac{1}{10}\left\{1 - (-1)\right\} \\ \displaystyle = \frac{1}{5} \end{array}\]となります。置換後の積分区間を求めるためには,下のような表を書くとよいでしょう。\[\begin{array}{c|ccc} x & 0 & \to & 1 \\ \hline u & -1 & \to & 1\end{array}\]

問題演習

課題1

次の不定積分と定積分を求めましょう。

  1. \(\displaystyle \int (2x - 1)^3 \,dx\) 解答 隠す
  2. \(\displaystyle \int (5x + 6)^7 \,dx\) 解答 隠す
  3. \(\displaystyle \int (3 - 2x)^5 \,dx\) 解答 隠す
  4. \(\displaystyle \int \left(\frac{1}{2}x + \frac{1}{3}\right)^6 \,dx\) 解答 隠す
  5. \(\displaystyle \int \sqrt{3x + 1} \,dx\) 解答 隠す
  6. \(\displaystyle \int x(x + 1)^4 \,dx\) 解答 隠す
  7. \(\displaystyle \int (x + 1)(x - 1)^6 \,dx\) 解答 隠す
  8. \(\displaystyle \int x\left(x^2 + 1\right)^3 \,dx\) 解答 隠す
  9. \(\displaystyle \int x\sqrt{x^2 + 3} \,dx\) 解答 隠す
  10. \(\displaystyle \int \left(2x + 1\right)\left(x^2 + x + 1\right)^4 \,dx\) 解答 隠す
  11. \(\displaystyle \int_1^2 (x - 1)^5 \,dx\) 解答 隠す
  12. \(\displaystyle \int_{-2}^1 \left(\frac{2}{3}x + \frac{1}{3}\right)^4 \,dx\) 解答 隠す
  13. \(\displaystyle \int_{-1}^5 \sqrt{\frac{1}{2}x + \frac{3}{2}} \,dx\) 解答 隠す
  14. \(\displaystyle \int_1^2 x(x - 1)^4 \,dx\) 解答 隠す
  15. \(\displaystyle \int_0^{\sqrt{3}} \frac{2x}{\sqrt{x^2 + 1}} \,dx\) 解答 隠す
Last modified: Tuesday, 9 March 2021, 5:28 PM