本日のお題

2変数関数について平均値の定理が成り立つことを確認し,理解します。

2変数の関数 \(f(x,\ y)\) についても,次の平均値の定理が成り立ちます。

2変数関数の平均値の定理

関数 \(f(x,\ y)\) が領域 \(D\) で全微分可能であるとき,2点 \((x_0,\ y_0)\)\((x,\ y)\) を結ぶ線分 \(l\)\(D\) に含まれているならば \[f(x,\ y) - f(x_0,\ y_0) = f_x(a,\ b)(x - x_0) + f_y(a,\ b)(y - y_0)\] を満たす点 \((a,\ b)\) が線分 \(l\) 上にあります。

確認しましょう。線分 \(l\) は次のベクトル方程式で表されます。 \[(s,\ t) = (x_0,\ y_0) + u(x - x_0,\ y - y_0)\quad(0 \leqq u \leqq 1)\] 今,\(u\) の関数 \(\phi(u) = f(s,\ t)\) を考えると,\(f(x,\ y)\)\(D\) で全微分可能だから,\(\phi(u)\)\(0 < u < 1\) で微分可能です。そこで,平均値の定理を用いると \[\phi(1) - \phi(0) = \phi'(c)\ ,\quad 0 < c < 1\] を満たす \(c\) が存在します。 \[(a,\ b) = (x_0,\ y_0) + c(x - x_0,\ y- y_0)\] とし,\(\phi(u)\)\(u\) で微分します。 \[\begin{eqnarray*} \phi'(u) &=& f_x(s,\ t)\cdot\frac{ds}{du} + f_y(s,\ t)\cdot\frac{dt}{du} \\[2px] &=& f_x(s,\ t)\cdot(x - x_0) + f_y(s,\ t)\cdot(y - y_0) \\[2px] ∴\quad \phi'(c) &=& f_x(a,\ b)(x - x_0) + f_y(a,\ b)(y - y_0) \end{eqnarray*}\] \(\phi(0) = f(x_0,\ y_0),\ \phi(1) = f(x,\ y)\) ですから \[f(x,\ y) - f(x_0,\ y_0) = f_x(a,\ b)(x - x_0) + f_y(a,\ b)(y - y_0)\] を満たす点 \((a,\ b)\)\(l\) 上にあることが示されました。

Last modified: Monday, 2 August 2021, 4:08 PM