2020/10/29 R-L直列回路における過渡電流

本日のお題

下の回路において,過渡電流 \(i(t)\) のグラフを,スイッチを入れた瞬間を \(t = 0\) として作成せよ。この問いは,どのように考えるのでしょうか?

数学の教員のところに,こんな問題,持ってくんじゃねぇよ!!

と,馴染みの学生さんを追い返そうとしましたが・・・
よくよく見ると,何とか解けそうな気がしてきました
チャレンジしてみましょう!!

まず,抵抗 \(R\) とインダクタンス \(L\) の端子間電圧をそれぞれ \(V_R\)\(V_L\) にすると\[V_L + V_R = E\ ,\quad V_R = R\,i(t) \tag{1}\]が成り立ち,さらに,インダクタンスについては

\[V_L = L \, \frac{d}{dt}i(t) \tag{2}\]

という関係があります

ということは,\((1)\)\((2)\) から \[L\,i'(t) + R\,i(t) = E \tag{3}\]という微分方程式を作ることができまして,この微分方程式を解くことは容易いものですね \[\begin{array}{l} L\,i'(t) = E - R\,i(t) \\[2px] \displaystyle \frac{L\,i'(t)}{E - R\,i(t)} = 1 \\[2px] \displaystyle ∴\quad \int \frac{L\,i'(t)}{E - R\,i(t)}\,dt = \int\ dt \\[2px] \displaystyle -\frac{L}{R}\,\log\left\{E - R\,i(t)\right\} = t + C \\[2px] \displaystyle \log\left\{E - R\,i(t)\right\} = -\frac{R}{L}\,(t + C) \\[2px] \displaystyle ∴ \quad E - R\,i(t) = e^{-\frac{R}{L}(t + C)} \\[2px] \displaystyle R\,i(t) = E - e^{-\frac{R}{L}\,C}\,e^{-\frac{R}{L}\,t} \\[2px] \displaystyle i(t) = \frac{1}{R}\left(E - C_1\,e^{-\frac{R}{L}\,t}\right) \qquad \leftarrow C_1 = e^{-\frac{R}{L}\,C}\end{array}\]\(t = 0\) のとき,\(i(0) = 0\) は明らかなので,\(C_1 = E\) が成り立ち\[i(t) = \frac{1}{R}\left(E - E\,e^{-\frac{R}{L}t}\right) = \frac{E}{R}\left(1 - e^{-\frac{R}{L}t}\right)\]となります

電源電圧 \(E\),抵抗 \(R\),インダクタンス \(L\) の値が与えられればグラフを描くことができますね・・・概ね,次のような形になります折角ですから,もう少し補足しましょう

補足するなどと書くと,私が分かっているようですが,単に調べてみただけです

この回路は,ある程度の時間が経過すると,インダクタンスは単なる導線として振る舞うようになります
この状態を定常状態ということは,皆さん,ご存じですね
勿論,そのとき回路を流れる電流は \(\displaystyle \frac{E}{R}\) です
したがって,\(i(t)\) のグラフは,\(\displaystyle i = \frac{E}{R}\) に漸近するものとなっています

ところで,グラフには \(e\) の指数が \(-1\) となる \(\displaystyle t = \frac{L}{R}\) を書き込んであります
この時刻を,時定数 と呼び,よく \(\tau\) で表します
\(1 - 1/e\) の値は凡そ \(0.63\) ですから,\(\tau\) は,回路を流れる電流が定常状態で流れる電流の約 \(63\%\) に達する時刻であるということになります
式から分かるように,時定数は,接続されたインダクタンスの値に比例し,抵抗値に反比例します

以上,蛇足的なトリビアでした

Last modified: Friday, 5 March 2021, 5:25 PM