解の分離
本日のお題
\(x\) の2次方程式 \begin{equation} x^2 + ax + b = 0 \end{equation} が相異なる2つの正の解をもつとき,定数 \(a\),\(b\) はどのような条件を満たせば良いか?
定数 \(a\),\(b\) が満たすべき条件を考えましょう
前回,2次関数のグラフと2次方程式の解との関係が少しばかり登場しました
そこで今回は,この2つの関係について更に考えてみたいと思います
まずは,当たり前のことを確認します
\(x\)
\(y\)
\(\alpha = \) \(\beta =\)
上の図は,関数\begin{equation}f(x) = (x - \alpha)(x - \beta)\end{equation}のグラフを表しています
初期状態では \(f(x) = (x + 1)(x - 1)\) を表示していますが,グラフの下側に入力ボックスがあって,ここに数値を入れることで \(\alpha\) と \(\beta\) の値を変えることができます
それぞれの値を変えてみましょう
すると\begin{equation}f(x) = (x - \alpha)(x - \beta)\end{equation}のグラフは,2点 \((\alpha,\ 0)\),\((\beta, \ 0)\) を必ず通っています
このことから,次のことが分かりますね
2次関数\begin{equation}f(x) = (x - \alpha)(x - \beta)\end{equation}のグラフは,\(x = \alpha\) と \(x = \beta\) で \(x\) 軸と交わります
言い換えると,2次方程式 \(f(x) = 0\) の解が \(x = \alpha\) と \(x = \beta\) であるとき,2次関数 \(y = f(x)\) のグラフは \(x = \alpha\) と \(x = \beta\) で \(x\) 軸と交わるということです
グラフで確認したからと言って,証明したことにはならないのですが,まっ,ここは固いこと抜きでいきましょう f^^;
さて,このことを使えば
「\(x\) の2次方程式 \(x^2 + ax + b = 0\) が異なる2つの正の解をもつ」は「\(x\) の2次関数 \(f(x) = x^2 + ax + b\) のグラフが,\(x\) 軸の正の部分と共有点を2つもつ」と同じ意味であることになります
\(x\)
\(y\)
\(a = \) | \(b = \) |
上の図は,関数 \(f(x) = x^2 + ax + b\) のグラフを表しています
グラフのの下側にある2つのスライダーを動かすと,\(a\),\(b\) の値を変えることができ,その変化に伴ってグラフも動きます(当然です f^^;)
この図を使って,グラフが \(x\) 軸の正の部分と2回交わるための条件を見つけましょう
\(a\) のスライダーを右に動かす,つまり,\(a\) 値を増やしていくと,グラフは左に左に動いていってしまいます
これでは,グラフは正の部分で2回交わりません
それでは,\(a\) のスライダーは左ですね・・・ん~,1つの交点は正の部分になりました
でも,もう1つは原点ですね・・・って \(b = 0\) だから当然!!
\(b\) の値を少し大きくすれば・・・おおっ!

いいですね~
でも,目標は グラフがこのようになるための条件を求める ことですからね
そのようになるための条件を求めるためには,そうでない状況と比較する・・・と見えてくることがあります

\(b\) を小さくしていくと,グラフの \(y\) 軸との交点が原点より下に下がってしまい,こうなると \(x\) 軸とは正の部分と負の部分とで1回ずつ交わるようになってしまいます
ところが,\(b\) の値が大きくなりすぎると,\(x\) と交点をもたなくなります・・・ん~,これは \(y\) 切片,つまり \(f(0)\) の値と \(D = b^2 - 4ac\) の値とを調べれば宜しいのではないでしょうか?
さ・ら・に・・・

最初に,上図の場合は不適であることを確認しました・・・\(a\) の値に関すること,つまり 放物線の軸 の位置を考えれば宜しいということです
逆に考えると,グラフが \(x\) 軸の正の部分と2回交わるためには,軸が \(x > 0\) の部分になければなりません
それでは,ここまでのことを整理しましょう
2次方程式 \(x^2 + ax + b = 0\) が相異なる2つの正の解をもつための条件は,\(f(x) = x^2 + ax + b\) とおいて\begin{equation}\left\{\begin{array}{l} D = a^2 - 4b > 0 \\ f(0) = b > 0 \\ \displaystyle -\frac{a}{2} > 0 \end{array}\right.\end{equation}
何とか求めることができました d^^b
さて,下のグラフでは,\(y\) 軸に平行な直線が引かれていて,この直線はスライダーの下の入力ボックスに式を入力することで表示できます
そうしますと,「\(-1\) より大きい,相異なる2つの実数解をもつ条件」「\(1\) より大きい解と小さい解を1つずつもつ条件」なども,この図を参考に求めることができそうですね
\(x\)
\(y\)
\(a = \) | \(b = \) |
\(x = \)
練習問題
\(x\) の2次方程式 \(x^2 - 2kx + k + 2 = 0\) について,次の問いに答えましょう
(1) 相異なる2つの正の解をもつように,定数 \(k\) の値の範囲を定めよう
(2) 正の解と負の解を1つずつもつように,定数 \(k\) の値の範囲を定めよう
この問いは,次回のお題といたします