本日のお題

3点 \(\left(-1,\ 6\right),\ \left(1,\ 0\right),\ \left(2,\ 3\right)\) を通る放物線を考えます

この放物線をグラフにもつ2次関数を求めましょう

このグラフが,どのような2次関数のものであるかを求めようということです

数学の問いを解く場合の基本的な考え方として,私はこのように考えています

条件が幾つかあれば,基本的に条件の数の未知数を決定できます

勿論,このことは,原則的,基本的な事柄で,成り立たない状況もあります

しかしながら,私は,このことがとても大事なことだと思っています

例えば,本日のお題ではグラフの通る3点の座標が分かっています

言い換えれば,3つの条件がある・・・ということですね

2次関数は \(y = ax^2 + bx + c\) という形をしており,見ればこの式の中には,未定の係数が3個あります

3つの条件があるから,解けそうだと考えられます

それでは,お題を解いてみましょう

題意の2次関数を \(y = ax^2 + bx + c\) とおきます

3点 \(\left(-1,\ 6\right),\ \left(1,\ 0\right),\ \left(2,\ 3\right)\) を通るので,上の式に代入します

\(\left\{\begin{array}{lcc} 6 = a\cdot(-1)^2 + b\cdot(-1) + c&\cdots&{\small (\mbox{i})}\\ 0 = a\cdot 1^2 + b\cdot 1 + c&\cdots&{\small (\mbox{ii})}\\3 = a\cdot 2^2 + b\cdot 2 + c&\cdots&{\small (\mbox{iii})} \end{array}\right.\)

それぞれの式をまとめると

\(\left\{\begin{array}{lcc} a - b + c = 6&\cdots&{\small (\mbox{i})}\\ a + b + c = 0&\cdots&{\small (\mbox{ii})}\\ 4a + 2b +c = 3&\cdots&{\small (\mbox{iii})} \end{array}\right.\)

連立方程式を解いて \(a = 2,\ b = -3,\ c = 1\)

したがって \(y = 2x^2 - 3x + 1\)


補間法

上に表示した図 ―GeoGebra によるアプレットで動きます― には,画面右下部分にチェックボックスがついていること・・・気づいていましたか?

こういうものがあると,クリックしたくなります,違いますか?

多くの人が,すでにクリック済みではないかと想像 しています^^

2次関数の式が表示されてしまうのです

しかも,3点を動かしたら(多くの場合に近似値ではあるけど)3点の座標に応じた2次関数の式が表示されます

ちょっと工夫・・・というか,勉強しました

式よりも,3点をとったときに,その3点を通る放物線を描きたかったのです

GeoGebra には,3点を通る円を作図する機能はあります

しかし,3点を通る放物線は作図してくれません

ですから,そのような2次関数の式を作らなければならないのです

解答のように連立方程式を解くのは,少々手間がかかります

直線ならば,2点 \((x_1,\ y_1), (x_2,\ y_2)\) を通る直線の方程式が,公式

\(\displaystyle y - y_1 = \frac{y_2 - y_1}{x_2 - x_1}(x - x_1)\)\(x_1 \ne x_2\)

として教科書に掲載されています・・・ならば,放物線にもあるのではないか?と考えるのが人情です(笑)

実はあるのです・・・補間公式

有名どこは,ラグランジュの補間公式,ニュートンの補間公式などです

上のアプレットを作るに当たって,私は,ラグランジュの補間公式を使いました

3点 \((x_1,\ y_1),\ (x_2,\ y_2),\ (x_3,\ y_3)\) を通る放物線
 
\(\begin{array}{rl} y\ =&\displaystyle\frac{(x - x_2)(x - x_3)y_1}{(x_1 - x_2)(x_1 - x_3)}\\&\quad\displaystyle + \frac{(x - x_3)(x - x_1)y_2}{(x_2 - x_3)(x_2 - x_1)}\\ &\qquad\displaystyle + \frac{(x - x_1)(x - x_2)y_3}{(x_3 - x_1)(x_3 - x_2)} \end{array}\)

この公式は便利でして・・・次数はいくつにでも拡張できます ^-^

GeoGebra を使っていると,こういう勉強をさせてもらえます

ここは,私が GeoGebra を好んで使う理由の一つです

だからと言って,この公式を暗記して,お題のような問題に使おう・・・とは思いませんが f^^;

むしろ高校生ならば,2次関数には次の3つの形があって,問題によって使い分けることを覚えるべきでしょう

2次関数の3つの形
\(\begin{array}{ll} {\small \mbox{標準の形}}&y = ax^2 + bx + c\\ {\small \mbox{頂点が分かる}}&y = a(x - p)^2 + b\\ {\small x\mbox{軸との交点が分かる}}\hspace{3em} &y = a(x - \alpha)(x - \beta)\end{array}\)

練習問題

次のような2次関数の式をそれぞれ求めましょう

  1. グラフが \(x\) 軸と \((-2,\ 0)\)\((1,\ 0)\) で交わり,最小値が \(-3\) である
  2. グラフが2点 \((0,\ 1)\)\((2,\ 1)\) を通り,かつ頂点が直線 \(y = 3\) の上に存在する
  3. グラフが原点と点 \((3,\ -3)\) を通り,かつ頂点が直線 \(y = x\) 上に存在する

解答 隠す


最終更新日時: 2021年 07月 8日(木曜日) 11:43