本日のお題

\(x = \sqrt{5} + \sqrt{3},\quad y = \sqrt{5}- \sqrt{3}\) のとき\begin{equation} x^3 + y^3\end{equation} の値を求めましょう

前回の練習問題に \(\alpha^5 + \beta^5\) の値を求める問いがありました

中には \(\alpha + \beta\)\(\alpha\beta\) で表そうとした人がいるのではないでしょうか?
ある意味鉄則ですから・・・

ただ,5次式だと形が複雑になるので,まず割り算をしたのです

今日のお題は,まさに \(\alpha + \beta\)\(\alpha\beta\) 或いは \(x + y\)\(xy\) のお話しです


対称式

\begin{equation} \alpha^5 + \beta^5,\quad x^3 + y^3,\quad x + y,\quad xy \end{equation} といった式には,共通した特徴があります

まず,式に含まれる文字が2つ

そして,ここが重要です・・・2つの文字を入れ換えても,式が変わりません

つまり,\(x^3 + y^3\)\(y^3 + x^3\) も同じ式で,上の式にはすべて同じことが成り立っています

このような式を 対称式 といいます

その中でも \(x + y\)\(xy\)基本対称式 とよんで,対称式には次の重要な性質があります

対称式の性質

任意の対称式は,基本対称式のみを用いて表すことができます

どういうことかと言うと,例えば \begin{equation}x^2 + y^2 = (x + y)^2- 2xy\end{equation} というように,基本対称式だけを使った式にすることができるのです

お題の \(x^3 + y^3\) も対称式だから,同じことができるはずですね,やってみましょう

\(x^3 + y^3\) を見ると,因数分解をしたくなります,それが人情というものです(どういう人情?) \begin{equation} x^3 + y^3 = (x + y)(x^2- xy + y^2) \end{equation} \(x^2 + y^2 = (x + y)^2- 2xy\) でしたから \begin{equation} \begin{array}{l} x^3 + y^3 \\[2px] = (x + y)\{(x + y)^2- 2xy- xy\} \\[2px] = (x + y)\{(x + y)^2- 3xy\} \end{array}\end{equation} これでも OK ですが・・・もう少し計算を進めてみると \begin{equation} x^3 + y^3 = (x + y)^3- 3xy(x + y) \end{equation} そうすると,このような考え方もできそうです \begin{equation} \begin{array}{l} x^3 + y^3 \\ = (x + y)^3- (3x^2y + 3xy^2) \\ = (x + y)^3- 3xy(x + y) \end{array} \end{equation} こちらの方がスッキリしています


ところで,このことが何の役に立つのでしょう・・・実は大いに役立つのです \begin{equation} x = \sqrt{5} + \sqrt{3},\quad y = \sqrt{5} - \sqrt{3} \end{equation} ということは \begin{equation} x + y = 2\sqrt{5},\quad xy = 5- 2 = 3\end{equation} だから \begin{equation} x^3 + y^3 \begin{array}[t]{l} = (x + y)^3- 3xy(x + y) \\[2px] = (2\sqrt{5})^2- 3\cdot 2\cdot 2\sqrt{5} \\[2px] = 40\sqrt{5}- 12\sqrt{5} \\[2px] = 28\sqrt{5} \end{array}\end{equation} まぁ,この程度なら,3乗の計算をしてもそれほど大変じゃないかも知れません(私は,必ず間違えるからやらりません笑)


\(x^4 + y^4\) の値,これも求めましょう \begin{equation} x^4 + y^4 \begin{array}[t]{l} = (x^2 + y^2)^2- 2x^2y^2 \\[2px] = \{(x + y)^2- 2xy\}^2 - 2(xy)^2 \\[2px] = \{(2\sqrt{5})^2 - 2\cdot 2\}^2 - 2\cdot 2^2 \\[2px] = 16^2 - 8 \\[2px] = 248\end{array}\end{equation} こうなると「ありがたやありがたや」と感じますでしょう?


対称式と2次方程式の解と係数の関係

次は,このようなお話しです

\(x\) の2次方程式 \(x^2 + x + 1 = 0\) の2つの解を \(\alpha\) と \(\beta\) とするとき \begin{equation} \label{quad} \alpha^3 + \alpha^2\beta + \alpha\beta^2 + \beta^3 \end{equation} の値を求めましょう


\((\ref{quad})\) は対称式なので基本対称式 \(\alpha + \beta\) と \(\alpha\beta\) で表すことができます

\(\alpha + \beta\) と \(\alpha\beta\) の値は,解と係数の関係から \begin{equation}\alpha + \beta = -1,\quad \alpha\beta = 1\end{equation} \begin{equation}(\ref{quad}) \begin{array}[t]{l} = (\alpha + \beta)^3 - 3\alpha\beta(\alpha + \beta) + \alpha\beta(\alpha + \beta) \\[2px] = (\alpha + \beta)^3 - 2\alpha\beta(\alpha + \beta) \\[2px] = (-1)^3 - 2\cdot 1\cdot (-1) \\[2px] = -1 + 2 \\[2px] = 1 \end{array}\end{equation}


3変数の対称式

\begin{equation} x^2 + y^2 + z^2 \end{equation}

は,\(x\) と \(y\),\(y\) と \(z\),\(z\) と \(x\) のどれを入れ換えても式が変わりません

このような式をやはり(3変数の)対称式とよびます

それでは,この場合の基本対称式は?

2変数の基本対称式は \begin{equation}(x - \alpha)(x - \beta) = x^2 - (\alpha + \beta)x + \alpha\beta\end{equation} 右辺の係数として出てきます,ですから解と係数の関係と絡むのは必然ですね

そこで,\((x- \alpha)(x- \beta)(x- \gamma)\) を展開してみましょう \begin{equation} \begin{array}{l} (x- \alpha)(x- \beta)(x- \gamma) \\[2px] = x^3- (\alpha + \beta + \gamma)x^2 + (\alpha\beta + \beta\gamma + \gamma\alpha)x - \alpha\beta\gamma \end{array}\end{equation} ここで現れた \begin{equation} \alpha + \beta + \gamma,\quad \alpha\beta + \beta\gamma + \gamma\alpha,\quad \alpha\beta\gamma\end{equation} を基本対称式とよぶのか?と言うと・・・その通りなのです

\(x^2 + y^2 + z^2\) が基本対称式でどう表されるか,確かめたくなりますよねぇ,それが人情です(どういう?)

取り敢えず,\((x + y + z)^2\) を展開してみましょう \begin{equation} \begin{array}{l}(x + y + z)^2 \\[2px] = x^2 + y^2 + z^2 + 2xy + 2yz + 2zx \end{array}\end{equation} あっ! できてしまいましたねぇ \begin{equation} \begin{array}{l}x^2 + y^2 + z^2 \\ =(x + y + z)^2- 2(xy + yz + zx)\end{array}\end{equation} 3変数の対称式について,今日は,このくらいに留めておきましょう

いずれ3次方程式を扱ったり,その解と係数の関係も学ばなければならないので,そのときまで取っておくことにします

練習問題

次の問いの値を求めましょう

  1. \(x = 1 + \sqrt{2},\quad y = 1- \sqrt{2}\) のとき \(x^3 + y^3\) の値
  2. \(\displaystyle x + \frac{1}{x} = 3\) のとき \(\displaystyle x^3 + \frac{1}{x^3}\) の値
  3. \(\sin\theta + \cos\theta = \sqrt{2}\) のとき \(\sin^3\theta + \cos^3\theta\) の値
  4. \(x^2 - 3x + 1 = 0\) の2つの解を \(\alpha,\ \beta\) とするときの \(\alpha^3 + \beta^3\) の値

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Last modified: Wednesday, 14 July 2021, 3:52 AM