剰余の定理
本日のお題
今日は,整式の割り算の余りについて勉強しましょう
- \(x\) の整式 \(P(x)\) について,\(x - 1\) で割った余りが \(7\),\(2x + 1\) で割った余りが \(1\) であるとき,\(2x^2 - x -1\) で割った余りを求めましょう
- \(x\) の整式 \(P(x)\) について,\(x^2 + x + 1\) で割った余りが \(-2x\),\(x - 1\) で割った余りが \(1\) であるとき,\(x^3 - 1\) で割った余りを求めましょう
剰余の定理
整式の割り算について,次の定理が成り立ちます
剰余の定理
\(a\) を定数として,\(x\) の整式 \(P(x)\) を \(x - a\) で割った余りは \(P(a)\) である
一応,簡単に説明しておきます
証明
1次の整式 \(x - a\) で割った余りは定数ですから,商を \(Q(x)\),余りを \(R\) とおくと,割り算の原理から \begin{equation} P(x) = (x - a)Q(x) + R \end{equation} と書くことができます
ここで,\(x = a\) を代入すると \(P(a) = R\) が得られます
お題を見るとこれだけでは足りなさそうです
例えば,\(2x + 1\) で割った余りが出てきています
これも,同様に考えれば,剰余の定理を以下のように拡張できることが分かりますね
剰余の定理
\(a\,\>b\) を定数として,\(x\) の整式 \(P(x)\) を \(ax + b\) で割った余りは \(\displaystyle P\left(-\frac{b}{a}\right)\) になります
剰余の定理を用いて余りを求めます
(1) から参りましょう,\(2x^2 - x -1\) は因数分解すると \begin{equation} 2x^2 - x -1 = (2x + 1)(x - 1) \end{equation} そして,これは2次式ですから,割ったときの余りは1次以下の式になります
したがって,商を \(Q(x)\),余りを \(mx + n\) とおくと \begin{equation} P(x) = (2x + 1)(x - 1)Q(x) + mx + n \end{equation} が成り立ちます
さぁ,ここで剰余の定理を使いましょう
\(x - 1\),\(2x + 1\) で割った余りがそれぞれ \(7\) と \(1\) ですから \begin{equation}\begin{array}{l} P(1) = m + n = 7 \\ P\left(-\displaystyle\frac{1}{2}\right) = -\displaystyle\frac{1}{2}m + n = 1 \end{array}\end{equation} 2式を連立して,\(m\) と \(n\) を求めると \begin{equation} m = 4,\quad n=3 \end{equation} よって,求める余りは \(4x + 3\) となります
つづいて (2) です,こちらは一工夫をしたいと思います \begin{equation} x^3 - 1 = (x - 1)(x^2 + x + 1) \end{equation} です
3次式で割った余りは2次以下の式となるので \(lx^2 + mx + n\) と書きたくなるところですが(勿論,これでも解けます),ここで一工夫をして楽をしましょう
\(x^2 + x + 1\) で割った余りが \(-2x\) だということを使えば,余りは \begin{equation} m(x^2 + x + 1) - 2x \end{equation} と書けます・・・少々難しいでしょうか? 式をよく見て理解してください
したがって \begin{equation} P(x) = (x - 1)(x^2 + x + 1)Q(x) + m(x^2 + x + 1) -2x\end{equation} ここで,\(Q(x)\) \(P(x)\) を \(x^3 - 1\) で割ったときの商です
そして,\(x - 1\) で割った余りが \(1\) ですから,剰余の定理を使うと \begin{equation} \begin{array}{l} P(1) = 3m - 2 = 1 \\ \mbox{∴}\quad m = 1 \end{array}\end{equation} よって,求める余りは \begin{equation} 1\cdot(x^2 + x + 1) - 2x = x^2 - x + 1 \end{equation}
分かりましたか?