三角形の面積
本日のお題
\(\triangle\mbox{ABC}\) において \(a = 7\),\(b = 5\),\(c = 8\) のとき,\(\triangle\mbox{ABC}\) の面積を求めましょう
今日のお題は三角形の面積です
高等学校の数学まででは,重要なテーマですよね
高等学校の数学では,三角比とベクトルの単元でよく取り扱われて,大学入試の問題などにもチョイチョイ出てきます
基本になるのは勿論
三角形の面積 = 底辺の長さ × 高さ ÷ 2
小学校の算数からずっと使ってきた,これ です
三角形の面積の公式に三角比を使うと・・・

上の図は,\(\triangle\mbox{ABC}\) において,頂点 \(\mbox{A}\) から辺 \(\mbox{BC}\) に下ろした垂線の足を \(\mbox{H}\) とおいたものです
このとき,\(\triangle\mbox{ABC}\) の面積を \(S\) とすると,と~ぜん \(\displaystyle S = \frac{1}{2}\mbox{BC}\cdot\mbox{AH}\)
ここで,直角三角形 \(\mbox{ABH}\) を考えると \[\mbox{AH} = \mbox{AB}\sin B\] ということは,\(\displaystyle S = \frac{1}{2}\mbox{BC}\cdot\mbox{AB}\cdot\sin B\) ですね
\(\mbox{BC} = a\),\(\mbox{CA} = b\),\(\mbox{AB} = c\) と書く約束だったから,この式は \(S = \displaystyle\frac{1}{2}ca\sin B\) とすることができます
ここまでのことは,\(\angle\mbox{B}\) の周りで考えていましたが,同じことが \(\angle\mbox{C}\) の周りでも \(\angle\mbox{A}\) の周りでも言えますから
\[\displaystyle S = \frac{1}{2}bc\sin A = \frac{1}{2}ca\sin B = \frac{1}{2}ab\sin C\]
この式が成り立ちます
三角形の3辺の長さから面積を求めましょう
お題の三角形については \[a = 7,\quad b = 5,\quad c = 8\] が,分かっているということです
どの角の大きさも分っていません
んっ! 待ってください・・・この三角形は,どこかで見たことがあるような気がします
そうですね,前回のお題にあった三角形です 前回のお題の (2) が「\(a = 7\),\(b = 5\),\(c = 8\) のとき,\(A\) の大きさは?」でした
3辺の大きさが分かっていれば,角の大きさが分かるのでしたね
この場合は \(A = 60°\) です
そうしますと, \(\triangle\mbox{ABC} = \displaystyle\frac{1}{2}\cdot 5\cdot 8\sin 60° = 10\sqrt{3}\)
この解答って,たまたま \(A\) を求めたから分かったことじゃない? \(B\) や \(C\) を求めたときはどうするの? そもそも,いつでも角度が分かるとは限らない
という心配をする向きもあると思います
しかしながら,それは無用な心配です
\(B\) からスタートした場合は \[\begin{array}{rcl} \cos B &=& \displaystyle\frac{c^2 + a^2 \,- b^2}{2ca} \\ &=& \displaystyle\frac{8^2 + 7^2 \,- 5^2}{2\cdot 8\cdot 7} \\ &=& \displaystyle \frac{11}{14} \end{array}\] \[\(\sin^2B = 1 - \cos^2B = \displaystyle\frac{75}{14^2}\] だから \[\sin B = \displaystyle\frac{5\sqrt{3}}{14}\] したがって \(\begin{array}[t]{rcl} \triangle\mbox{ABC} &=& \displaystyle \frac{1}{2}\cdot 8\cdot 7\cdot \frac{5\sqrt{3}}{14} \\ &=& 10\sqrt{3} \end{array}\)
ねっ! これで求められました
この計算の過程は,文字を用いて行うこともできます
計算すると,うまい具合に因数分ができてしまって,その結果が「ヘロンの公式」というものなります
ところが,私は,問題を解くときに ヘロンの公式 を使ったことがありません
覚えなければならないことはできるだけ少なく・・・が私の主義なので,この公式は扱わないことにします
面積の公式から正弦定理に
面積の公式から正弦定理を導くことができます・・・分かりますか?
面積の公式の各辺に \(\displaystyle\frac{2}{abc}\) を掛けるのです \[\displaystyle \frac{2S}{abc} = \frac{\sin A}{a} = \frac{\sin B}{b} = \frac{\sin C}{c}\] ほうら,分母と分子がひっくり返ってはいるものの,問題はありません
何故なら,正弦定理は比例式だからです
いずれにしても \[\sin A:\sin B:\sin C = a:b:c\] が成り立っていることには変わりがありません
それどころか \[\displaystyle \frac{a}{\sin A} = \frac{b}{\sin B} = \frac{c}{\sin C} = 2R\] と比較すれば,次が成り立つことも分かります \[\displaystyle \frac{2S}{abc} = \frac{1}{2R},\quad \frac{abc}{2S} = 2R\] この関係を使えば,三角形の3辺の大きさと面積から外接円の半径が求められます
これは練習問題にしましょう
外接円の半径が出てきたから,内接円の半径もついでに問いにします