三角形の形状
本日のお題
\(\triangle\mbox{ABC}\) について,次の等式が成り立っているとき,\(\triangle\mbox{ABC}\) がどのような形状をしているかを考えましょう
(1) \(a^2 + b^2 = c^2\)
(2) \(a ^2 - ab + b^2 = c^2\)
(3) \(a\sin A + b\sin B = c\sin C\)
(4) \(a\cos C = c\cos A\)
この等式を見て,三角形がどんな形をしているかを考えるという問いです
三角形がどのような形と言っても,初めて見た方には,どのように答えるべきかが分からないかもしれません
数学に限らず,学校で勉強することには,このようなことがよくあるのです
つまり,このような問題にはこのようにに答えるという,出題者と解答者に暗黙の了解があります
何か,問題を解くための問題という気がして,あまり良い気持がしません
ただ,この辺りの問いは正弦定理・余弦定理の応用として鉄板問題なので,扱っておくことにします
答え方は,直角三角形とか二等辺三角形とか,その等式から読み取れることを答えることになります
三平方の定理
前半2つの問題は,この手の問題を解くためのウォーミングアップとでも思ってください
(1) は簡単です・・・馬鹿にするなと言われそ~ですね
\(C = 90°\) の直角三角形です
直角三角形の場合には,直角になっている角を示す必要があり・・・これが暗黙の了解事項です
(2)は,もう少し複雑 \(a^2 - ab + b^2 = c^2\)
複雑と言っても,三平方の定理に近い形をした等式です
ここで,思い出したいのが,余弦定理は三平方の定理の親戚であるということです
そうすると,余弦定理 \(c^2 = a^2 + b^2 -2ab\cos C\) と比較することができます
\(2\cos C = 1\) ∴ \(\cos C = \displaystyle\frac{1}{2}\)
ということで,\(C = 60°\) の三角形です
正弦定理は比例式
次の (3) は,辺の長さと角の \(\sin\) が混在しています \[a\sin A + b\sin B = c\sin C\] ただし,私的には,この式を見た瞬間にどんな三角形をかを答えてほしいと考えます
何故かと言いますと \(\sin^2A + \sin^2B = \sin^2C\) のような式が成り立つとき,この \(\triangle\mbox{ABC}\) は直角三角形であるという話しはしました
正弦定理は \(\sin A:\sin B:\sin C = a:b:c\) つまり比例式なのです
ですから \(\left\{\begin{array}{l} a\sin A + b\sin B = c\sin C \\ \sin^2A + \sin^2B = \sin^2C \end{array}\right.\) はどちらも \(a^2 + b^2 = c^2\) と同じなのです
解答に書くときには,このおうな形になります
正弦定理から \[\displaystyle \frac{\sin A}{a} = \frac{\sin B}{b} = \frac{\sin C}{c} = k\] とおくと \[\sin A = ak,\ \sin B = bk,\ \sin C = ck\] これを与式に代入して \[\begin{array}{l} a^2k + b^2k = c^2k \\[2px] a^2 + b^2 = c^2 \end{array} \] したがって,\(\triangle\mbox{ABC}\) は \(C = 90°\) の直角三角形
辺の大きさと角の大きさが混在していると分かりにくいので,どちらか一方の関係式にしてしまいます
三角比しか学習していない段階であれば,辺 \(a\),\(b\),\(c\) の関係にすることをお薦めします
三角関数の加法定理から「和→積」「積→和」の公式を自由自在に操れるようになれば,角 \(A\),\(B\),\(C\) の関係に持ち込む方が簡単な問いもあります
余弦定理で辺の関係に
(4) \(a\cos C = c\cos A\)
余弦定理を使うと \[\left\{\begin{array}{l} \cos A = \displaystyle\frac{b^2 + c^2 \,- a^2}{2bc} \\ \cos C = \displaystyle\frac{a^2 + b^2 \,- c^2}{2ab} \end{array}\right.\] から,辺の大きさ \(a,\ b,\ c\) だけの関係に変えることができます
2つの式を与式に代入すると \[\begin{array}{l} \displaystyle a\cdot\frac{a^2 + b^2 \,- c^2}{2ab} = c\cdot\frac{b^2 + c^2 \,- a^2}{2bc} \\[2px] a^2 + b^2 \,- c^2 = b^2 + c^2 \,- a^2 \\[2px] a^2 = c^2 \end{array}\] \(a > 0\),\(c > 0\) より \(a = c\) が成り立ちます
以上から,\(\triangle\mbox{ABC}\) は \(\mbox{AB} = \mbox{BC}\) の二等辺三角形です