円に内接する四角形の面積
本日のお題
四角形 \(\mbox{ABCD}\) が円に内接し \[\mbox{AB}=2,\ \mbox{BC}=4,\ \mbox{CD}=4,\ \mbox{DA}=3\] であるとき,四角形 \(\mbox{ABCD}\) の面積を求めましょう!
今日のお題は,少々些末な感じのする問いです
しかし,私は,この問いが結構好きなのです
三角比に関していろいろな要素を含んでいます
この問いにスラスラ答えられたら,三角比がある程度分かっていると判断できのではないかと考えています
まず,図を示したいのですが,その図を正確に描こうとすると(つまり,コンピュータの画面上に表示しようとすると)なかなか難しいのです
逆に言えば,コンピュータの画面上に題意の図を描くことができれば,問いの答えがほぼほぼ求められたことになりそうです
ポイントは,題意の四角形の対角線を一本引く ということです・・・例えば,対角線 \(\mbox{AC}\) です
先に図を示して,その図をどのように描いたかを説明していきましょう
\(\angle\mbox{ABC} = \theta\) とおくと,四角形 \(\mbox{ABCD}\) が円に内接するので,\(\angle\mbox{ADC} = 180^{\circ} - \theta\) となります ← 重要
このことを使って,\(\triangle\mbox{ABC}\) と \(\triangle\mbox{ADC}\) に余弦定理を用いると \(\mbox{AC}^2\) を二通りに表すことができます \[\label{f1} \left\{\begin{array}{l} \mbox{AC}^2 \begin{array}[t]{l} = 2^2 + 4^2 - 2 \cdot 2\cdot 4 \cdot \cos\theta \\[2px] = 20 - 16\cos\theta \end{array} \\[2px] \mbox{AC}^2 \begin{array}[t]{l} = 3^2 + 4^2 - 2\cdot 3\cdot 4\cdot \cos(-\theta) \\[2px] = 25 + 24\cos\theta \end{array} \end{array} \right. \tag{1}\] この二式を連立して \[\begin{array}{l} 20 - 16\cos\theta = 25 + 24\cos\theta \\[2px] 40\cos\theta = -5 \\[2px] ∴\quad \displaystyle \cos\theta = -\frac{1}{8} \end{array} \tag{2}\] となって,さらに \(\displaystyle \sin\theta = \sqrt{1 - \left(-\frac{1}{8}\right)^2} = \frac{3\sqrt{7}}{8}\) です
また,\((1)\) から \(\mbox{AC} = \sqrt{22}\) が得られ,\(\triangle{\mbox{ABC}}\) に正弦定理を用いると,四角形 \(\mbox{ABCD}\) が内接する円の半径 \(R\) は \[R = \frac{\mbox{AC}}{\sin B} \cdot \frac{1}{2} = \frac{4\sqrt{22}}{3\sqrt{7}} \tag{3}\] となります。
さて,ここで座標を導入します
図には座標軸が示されていませんが,\(\mbox{B}(0,\ 0)\),\(\mbox{C}(4,\ 0)\) と考えれば,点 \(\mbox{A}\) の座標は,\(\displaystyle\left(-\frac{1}{4},\ \frac{3\sqrt{7}}{4}\right)\) です
ここからの計算は,少々面倒なので端折ります
辺 \(\mbox{AB}\) と \(\mbox{BC}\) の垂直二等分線から外接円の中心が \(\displaystyle \left(2,\ \frac{10}{3\sqrt{7}}\right)\) となるので,外接円の方程式は \[\left(x - 2\right)^2 + \left(y - \frac{10}{3\sqrt{7}}\right)^2 = \frac{352}{63} \tag{4}\] と求められます
この式と,\((x - 4)^2 + y^2 = 16\) とを連立すると \[\left(x,\ y\right) = \left(0,\ 0\right),\quad \left(\frac{25}{11},\ \frac{15\sqrt{7}}{11}\right)\] が解として得られるので,点 \(\mbox{D}\) の座標は \(\displaystyle \left(\frac{25}{11},\ \frac{15\sqrt{7}}{11}\right)\) であることが分かります(・・・が,ここはお題には直接関係しません)
さて,話しをお題に戻しましょう
重要なことは,\((1)\) と \((2)\) 式なのです
余弦定理を用いて\[\sin\theta = \sin \left(180^{\circ} - \theta\right) = \frac{3\sqrt{7}}{8} \tag{5}\] を求めるところです
この値を求めてしまえば,四角形 \(\mbox{ABCD}\) の面積 \(S\) は \[S = \frac{1}{2}\left(2\cdot 4 + 3\cdot 4\right)\cdot \frac{3\sqrt{7}}{8} = \frac{15\sqrt{7}}{4} \tag{6}\] です