本日のお題

鋭角三角形について,点の座標と直線の方程式を用いて,オイラー線の存在を示します

オイラー線は,三角形の垂心・重心・外心が一直線に並ぶというものでした
前回,幾何的な証明をしたので,今回は,点の座標や直線の方程式からオイラー線の存在を示します

まず,三角形の3頂点を座標平面にどのように配置するか? を考えましょう
座標を用いた計算を行うので,それができるだけ簡単になるように設定しておきたいところです

上の図のように,\(\mbox{A}(a,\ b)\)\(\mbox{B}(-c,\ 0)\)\(\mbox{C}(c,\ 0)\) とします

ここで,使うツールを確認しておきましょう

2点間の距離

2点 \(\mbox{A}\)\(\mbox{B}\) の座標がそれぞれ \(\mbox{A}(x_1,\ y_1)\)\(\mbox{B}(x_2,\ y_2)\) であるとき\[\mbox{AB} = \sqrt{(x_2 - x_1)^2 + (y_2 - y_1)^2}\]

内分点・外分点の座標

2点 \(\mbox{A}\)\(\mbox{B}\) の座標がそれぞれ \(\mbox{A}(x_1,\ y_1)\)\(\mbox{B}(x_2,\ y_2)\) であるとき,線分 \(\mbox{AB}\)\(m:n\) に内分する点の座標は\[\displaystyle \left(\frac{nx_1 + mx_2}{m + n},\ \frac{ny_1 + my_2}{m + n}\right)\]また,線分 \(\mbox{AB}\)\(m:n\) に外分する点の座標は\[\displaystyle \left(\frac{-nx_1 + mx_2}{m - n},\ \frac{-ny_1 + my_2}{m - n}\right)\]

直線の方程式

\(\mbox{A}(x_1,\ y_1)\) を通って傾き \(m\) の直線の方程式は\[y - y_1 = m(x - x_1)\]また,2点 \(\mbox{A}\)\(\mbox{B}\) を通る直線の方程式は\[\left\{\begin{array}{ll}\displaystyle y - y_1 = \frac{y_2 - y_1}{x_2 - x_1}(x - x_1) & (x_1 \ne x_2) \\ x = x_1 & (x_1 = x_2) \end{array}\right.\]

2直線の平行・垂直

2直線 \(y = mx + n\)\(y = m'x + n'\) について

平行\(\ \Leftrightarrow\ m = m',\ n \ne n'\)
垂直\(\ \Leftrightarrow\ m\cdot m' = -1\)

外心の座標

外心の座標を求める際に,考えられることは2つです
1つは,3頂点から等しい距離にある点,すなわち\[\mbox{AP} = \mbox{BP} = \mbox{CP}\]を使う方法と垂直二等分線の交点を求める方法です

ただし,垂直二等分線の方程式は,中点と傾きから求めるより,2点からの距離が等しいという関係から求めた方が簡単な場合が多いので,式の上では上の2つの方法が同じものになってしまいます。

ここでは,辺 \(\mbox{BC}\) の垂直二等分線が \(x\) 軸になるように \(\triangle\mbox{ABC}\) を配置したので,外心 \(\mbox{P}\) の座標を \((0,\ y)\) とおくことができ,\(\mbox{PA} = \mbox{PB}\) から \(y\) の値を求めることができます\[\begin{array}{l} a^2 + (b - y)^2 = c^2 + y^2 \\ a^2 + b^2 -2by + y^2 = c^2 + y^2 \\ 2by = a^2 + b^2 - c^2 \\ \displaystyle y = \frac{a^2 + b^2 - c^2}{2b} \\ \displaystyle \mbox{∴}\quad \mbox{P}\left(0,\ \frac{a^2 + b^2 - c^2}{2b}\right) \end{array}\]

重心の座標

重心 \(\mbox{G}\) の座標は \(\displaystyle \left(\frac{a}{3},\ \frac{b}{3}\right)\)

垂心の座標

垂線 \(\mbox{AH}\) の方程式は \(x = a\) ・・・ ①

\(\mbox{CA}\) の傾きは \(\displaystyle \frac{b}{a - c}\)

∴ 垂線 \(\mbox{AH}\) の傾きは

\(\displaystyle \frac{c - a}{b}\)

∴ 直線 \(\mbox{AH}\) の方程式は

\(\displaystyle y = \frac{c - a}{b}(x + c)\) ・・・ ②

①と②を連立して,点 \(\mbox{H}\) の座標は\[\mbox{H}\displaystyle \left(a,\ \frac{c^2 - a^2}{b}\right)\]

オイラー線

2点 \(\mbox{H}\)\(\mbox{G}\) を通る直線の方程式は\[y - \frac{b}{3} = \frac{\frac{c^2 - a^2}{b} - \frac{b}{3}}{a - \frac{a}{3}}\left(x - \frac{a}{3}\right)\]式を整理して\[\displaystyle y = \frac{3c^2 - 3a^2 - b^2}{2ab} x + \frac{a^2 + b^2 - c^2}{2b}\]したがって,直線 \(\mbox{HG}\) は点 \(\mbox{P}\) を通り,3点 \(\mbox{H}\)\(\mbox{G}\)\(\mbox{P}\) は一直線上にあることが分かります

\(a = 0\) の可能性もありますが,細かなことはゼ~ンブ無視いたしました f^^;

練習問題

3点 \(\mbox{A}(1,\ 5)\)\(\mbox{B}(-3,\ -2)\)\(\mbox{C}(5,\ 0)\) を頂点とする \(\triangle\mbox{ABC}\) について,外心,重心,垂心の座標を求めましょう 解答 隠す

最終更新日時: 2022年 03月 10日(木曜日) 16:57