本日のお題

\(\mbox{A}(x_0,\ y_0)\) から直線 \(l:ax + by + c = 0\) に下した垂線 \(\mbox{AH}\) の長さが

\(\mbox{AH} = \displaystyle \frac{|\,ax_0 + by_0 + c\,|}{\sqrt{a^2 + b^2}}\)

で表されることを示しましょう

ヘッセの標準形 という公式ですね
今回は,この公式を示していこうと思います

点の座標・直線の方程式などから

証明の方針は,単純に・・・

  1. \(\mbox{A}\) を通って直線 \(l\) に垂直な直線の方程式を求めます
  2. 上で求めた直線と直線 \(l\) との交点,つまり点 \(\mbox{H}\) の座標を求めます
  3. \(\mbox{AH}\) の長さを求めます

ところが,すべて文字なので,これがかなり面倒くさい計算になりしょうです
そこで,少しでも計算の負担が減るように工夫をしていきます

まずは,次の事柄を確認しておきましょう

\(\mbox{A}\) の座標を \((x_0,\ y_0)\),直線 \(l\) の方程式を \(ax + by + c = 0\) とします

\(\mbox{A}\) を通って,直線 \(l\) に垂直な直線の方程式は\[b(x - x_0) - a(y - y_0) = 0\]また,点 \(\mbox{A}\) を通って,直線 \(l\) に平行な直線の方程式は\[a(x - x_0) + b(y - y_0) = 0\]

傾きを考えれば,分かりますね

最初は,\(a \ne 0\)\(b \ne 0\) の場合を考えます

\(\mbox{H}\) の座標を \((x_1,\ y_1)\) とすると,\(\mbox{H}\) は直線 \(l\) 上の点ですから\[ax_1 + by_1 + c = 0 \tag{1}\]が成り立ちます

また,直線 \(\mbox{AH}\) は直線 \(l\) に垂直ですから\[b(x_1 - x_0) - a(y_1 - y_0) = 0\]が成り立って,\(a \ne 0\)\(b \ne 0\) を考慮すると\[\begin{array}{l} b(x_1 - x_0) = a(y_1 - y_0) \\[4px] \displaystyle \frac{x_1 - x_0}{a} = \frac{y_1 - y_0}{b} \end{array}\]となるので,\(\displaystyle \frac{x_1 - x_0}{a} = \frac{y_1 - y_0}{b} = t\) とおくと \[\begin{eqnarray} && x_1 - x_0 = at,\quad y_1 - y_0 = bt \tag{2} \\[4px] && x_1 = x_0 + at,\quad y_1 = y_0 + bt \tag{3} \end{eqnarray}\] ここで \((3)\)\((1)\) に代入します \[\begin{eqnarray*} && ax_0 + a^2t + by_0 + b^2t + c = 0 \\[4px] && t = \frac{-ax_0 - by - c}{a^2 + b^2} \tag{4} \end{eqnarray*}\] さらに \((2)\)\((4)\) を使いましょう \[\begin{eqnarray*} \mbox{AH}^2 & = & (x_1 - x_0)^2 + (y_1 - y_0)^2 \\[2px] & = & (at)^2 + (bt)^2 \\[2px] & = & (a^2 + b^2)\,t^2 \\[2px] & = & \frac{ax_0 + by_0 + c)^2}{(a^2 + b^2)^2} \tag{5} \end{eqnarray*}\]

\(a = 0\) の場合には \(\displaystyle \mbox{AH}^2 = \left(y_0 + \frac{c}{b}\right)^2\) ですから \((5)\) を満たしています

\(b = 0\) の場合にも \(\displaystyle \mbox{AH}^2 = \left(x_0 + \frac{c}{a}\right)^2\) ですから \((5)\) を満たしています

以上から \(\displaystyle \mbox{AH} = \frac{|\,ax_0 + by_0 + c\,|}{\sqrt{a^2 + b^2}}\) が成り立ちます

ベクトルの利用

ヘッセの標準形は,ベクトルを用いるともっとシンプルに求めることができます
ここでも,まず,使うツールを示しておきます

ベクトル \(\vec{n\mathstrut} = (a,\ b)\) は直線 \(ax + by + c = 0\) に垂直です

直線に垂直なベクトルを,その直線の 法線ベクトル といいます

2つのベクトル \(\vec{a\mathstrut}\)\(\vec{b}\) が平行であるとき

\(\vec{b \mathstrut} = t\vec{a \mathstrut}\) となる実数 \(t\) が存在する

\(\left|\,\vec{a \mathstrut} \cdot \vec{b \mathstrut}\,\right| = \left|\, \vec{a} \mathstrut \,\right| \cdot \left|\, \vec{b \mathstrut} \,\right|\)

が成り立つ

この2つです
それでは,ベクトルを使ってヘッセの標準形を導きます。

\(\vec{n\mathstrut} = (a,\ b)\) とすると,\(\vec{n\mathstrut}\) は直線 \(l\) の法線ベクトルであり,\(\vec{n\mathstrut}/\!/\overrightarrow{\mbox{AH}}\) が成り立ちます
したがって\[\left|\,\overrightarrow{\mbox{AH}}\,\right|\begin{array}[t]{l} \displaystyle = \frac{|\,\vec{n\mathstrut}\cdot\overrightarrow{\mbox{AH}}\,|}{|\,\vec{n\mathstrut}\,|} \\[2px] \displaystyle = \frac{|\,a(x_1 - x_0) + b(y_1 - y_0)\,|}{\sqrt{a^2 + b^2}} \\[2px] \displaystyle = \frac{|\,-ax_0 - by_0 + ax_1 + by_1\,|}{\sqrt{a^2 + b^2}} \\[2px] \displaystyle = \frac{|\,-ax_0 - by_0 - c\,|}{\sqrt{a^2 + b^2}} \\[2px] \displaystyle = \frac{|\,ax_0 + by_0 + c\,|}{a^2 + b^2}\end{array}\]

2通りの方法で示すことができました

ヘッセの標準形

\(\mbox{A}(x_0,\ y_0)\) から直線 \(l:ax + by + c = 0\) に下した垂線 \(\mbox{AH}\) の長さは

\(\mbox{AH} = \displaystyle \frac{|\,ax_0 + by_0 + c\,|}{\sqrt{a^2 + b^2}}\)

で表される

Last modified: Monday, 11 April 2022, 5:34 AM