円と直線の関係
本日のお題
円 \(\mbox{C}:x^2 + y^2 = 9\) について次の問いに答えてください
- 点 \(\mbox{A}(4,\ 3)\) から円 \(\mbox{C}\) に引いた接線の方程式を求めましょう
- 直線 \(l:4x + 3y = k\) が円 \(\mbox{C}\) と共有点をもつような,定数 \(k\) の値の範囲を求めましょう
今回は,円と直線に関して3つのことを考えていきます
まずは,円周上の点で引いた接線の方程式です
円の接線
円周上の点で引いた接線の方程式
円 \(\mbox{C}:x^2 + y^2 = r^2\) の円周上の点 \(\mbox{A}(x_0,\ y_0)\) で引いた円 \(\mbox{C}\) の接線の方程式は \[x_0 x + y_0 y = r^2\] となる
簡単に証明しておきましょう

直線 \(\mbox{OA}\) の方程式は \(y_0 x - x_0 y = 0\) ですから,点 \(\mbox{A}\) を通って \(\mbox{OA}\) に垂直な直線の方程式は \[\begin{array}{l} x_0(x - x_0) + y_0(y - y_0) = 0 \\[2px] x_0 x + y_0 y = x_0 ^2 + y_0 ^2 \\[2px] x_0 x + y_0 y = r^2 \end{array}\] となります
ところが,お題は円の外にある点 \((4,\ 3)\) から引いた接線です
上の式をどのように使うかというと・・・
接点の座標を \((x_0,\ y_0)\) とおく
というところがポイントです
そうしますと,接線の方程式が \[x_0 x + y_0 y = 9\ \tag{1}\]となって,さらに \((x_0,\ y_0)\) は円周上の点ですから \[x_0 ^2 + y_0 ^2 = 9 \tag{2}\]が成り立ちます
点 \(\mbox{A}(4,\ 3)\) を通る接線の方程式を求めるので,\((1)\) に点 \(\mbox{A}\) の座標 \((4,\ 3)\) を代入して \[4x_0 + 3y_0 = 9 \tag{3}\] を得ます
ここで,\((2)\) と \((3)\) を連立すれば接点の座標を求めることができます
連立方程式を解いて,接点の座標は \((0,\ 3)\) と \(\displaystyle \left(\frac{72}{25},\ -\frac{21}{25}\right)\) となります
これを \((1)\) に代入すると,次のとおり,題意の接線の方程式が得られます \[y = 3,\quad 24x - 7y = 75\]
円の中心から直線に下した垂線の長さ
ヘッセの標準形を使って,円の中心から直線に下した垂線の長さを考えることもできます

円の中心から直線に下した垂線の長さと,円の半径とを比較します
上の図を見て分かるように,直線が円に接しているときは垂線の長さと半径が一致するので,これを使いましょう
点 \(\mbox{A}\) の座標が \((4,\ 3)\) ですから,\(y\) 軸に平行な接線は存在しません
そこで,接線の傾きを \(m\) とおくと,接線の方程式は \[\begin{eqnarray*} && y - 3 = m(x - 4) \\[2px] && mx - y - 4m + 3 = 0 \tag{4}\end{eqnarray*}\]
となります
原点から下ろした垂線と半径とが同じ長さになれば良いので \[\begin{eqnarray*} && \displaystyle \frac{|\,-4m + 3\,|}{\sqrt{m^2 + 1}} = 3 \\[2px] && \mbox{∴}\quad (4m - 3)^2 = 9(m^2 + 1) \\[2px] && m(7m - 24) = 0 \\[2px] && \mbox{∴}\quad m = 0,\quad \displaystyle \frac{24}{7} \tag{5}\end{eqnarray*}\] \((5)\) を \((4)\) に代入して,次のとおり,題意の接線の方程式が得られます \[y = 3,\quad 24x - 7y - 75 = 0\]
これを使うと,2番も同様に考えることができます

円と直線とが共有点をもつためには,中心から直線に下した垂線の長さが半径以下になればよいのです
ですから \[\begin{array}{l} \displaystyle \frac{|\,-k\,|}{5} \leqq 3 \\[2px] \mbox{∴}\quad -15 \leqq k \leqq 15 \end{array}\] 思いのほか簡単に解けてしまいました
判別式を使うと
最後に,接線や共有点の話しなので判別式を使って解いておきましょう
お題を見て,まず判別式が頭に浮かんだという人もいるのではないかと思います
最後まで出し惜しみをしていた訳でなく,実は,円の場合に判別式を使うと,計算が面倒になることが多いのです
まず,接線から・・・
上の解答と同様に傾きを \(m\) とおくと,接線の方程式は \[y = mx - 4m + 3\] となります
円の方程式 \(x^2 + y^2 = 9\) と連立して \[x^2 + (mx - 4m + 3)^2 = 9\] この式を整理すると \[(m^2 + 1)x^2 - 2m(4m - 3)x + 16m^2 - 24m = 0\] となります
ここで判別式を考えます \[D/4 \begin{array}[t]{l} = m^2(4m - 3)^2 - 8m(2m - 3)(m^2 + 1) \\[2px] = m(-7m + 24) \end{array}\] したがって,\(D = 0\) となるのは,\(m = 0,\ \displaystyle \frac{24}{7}\) でです
以下は上と同様です
モノグサな私には,ヤリタクナイ計算です
次は2番です
\(4x + 3y = k\) を変形して,\(\displaystyle y = -\frac{4}{3}x + \frac{k}{3}\) を \(x^2 + y^2 = 9\) に代入します \[\begin{array}{l} \displaystyle x^2 + \frac{1}{9}(16x^2 - 8kx + k^2) = 9 \\[2px] 25x^2 - 8kx + k^2 - 81 = 0 \end{array}\] ここで判別式をとって \[\begin{array}{l} D/4 = 16k^2 - 25(k^2 - 81) \geqq 0 \\[2px] k^2 - 15^2 \leqq 0 \\[2px] (k + 15)(k - 15) \leqq 0 \\[2px] \mbox{∴}\quad -15 \leqq k \leqq 15 \end{array}\] こちらの計算は,それほどでもありませんでした(まぁ,そのようなこともあります)
ここでは,円の直線の関係を考えるとき,中心から直線に下した垂線と半径との長さの比較が有効だ,ということを覚えておいていただければ幸甚です