本日のお題

次の式をみたす関数 \(f(x)\) を求めましょう.\[f(x) = x + \int_{0}^{2} f(x)\,dx\]

勿論,\(x\) の関数です.何次の関数か分かりますか?

不定積分は関数です.
定積分は値です.

このお題は,怖そうな顔つきをしていますねぇ.まるで私みたい(笑).その怖そうな顔つきに騙されてはいけません.単なる1次関数です.定積分は値ですからね.\[\int_{0}^{2}f(x)\,dx = C\]とおきましょう.

解答

\[\int_{0}^{2} f(x) = C \tag{1}\]とおくと,\[f(x) = x + C \tag{2}\]となります.そこで,\((2)\) 式を \((1)\) 式に代入します.\[\int_{0}^{2} (x + C)\,dx = C \\[4px] \left[\frac{1}{2}x^2 + Cx\right]_{0}^{2} = C \\[4px] 2 + 2C = C\quad ∴\quad C = -2\]したがって,\[f(x) = x - 2\]です.ねっ!簡単でしょ!

このお題,ちょっと意地悪をしています.\[f(x) = x + \int_{0}^{2} f(t)\,dt\]となっていることが多いのです.定積分では,積分変数に何を使っても同じですから.こちらの書き方の方が分かりやすいのですね.

それでは,お題の関数が \[f(x) = x^2 + \int_{0}^{1} xf(t)\,dt\]となったらどうでしょう?

定積分の積分変数が \(t\) なのに,\(\displaystyle \int_{0}^{1}xf(t)\,dt\) の中に \(x\) があるじゃん! どすんの?

まず,この疑問を抱いた方,OK です.定積分の積分変数が \(t\) であることに気付いているということです.これが解くためのカギです.

\(x\) は,積分変数とは無関係です.つまり,定積分の中に限れば,単なる定数でしかないのです.ですから\[\int_{0}^{1}x f(t)\,dt = x \int_{0}^{1}f(t)\, dt\]となるのですね.そこで\[\int_{0}^{1}f(t)\,dt = C\]とおけば\[f(x) = x^2 + Cx\]となります.したがって\[\int_{0}^{1}\left(x^3 + Cx^2\right)\,dx = C \\[4px] \left[\frac{1}{4}x^4 + \frac{1}{3}Cx^3\right]_{0}^{1} = C \\[4px] \frac{1}{4} + \frac{1}{3}C = C \quad ∴ \quad C = \frac{3}{8}\]以上より,\(\displaystyle f(x) = x^2 + \frac{3}{8}x\)

このような方程式を積分方程式といいます.積分方程式の中で最も基本的なものです.数学Ⅱの範囲では,この程度のことが分かっていれば OK でしょう.

積分限界に変数 \(x\) を含むようなものもありますが,数学Ⅱの中では,積分方程式とは違った形で出題されます.

Last modified: Wednesday, 27 September 2023, 5:18 AM