3 次方程式の実数解の個数
本日のお題
\(k\) を定数として,\(x\) の3次方程式\[x^3 - 3x + k = 0 \tag{1}\]の実数解の個数を求めましょう.
あくまでも実数解のお話しです.ということは,2次方程式と2次関数のグラフとの関係と同様,\(x\) の3次関数\[f(x) = x^3 - 3x + k\]のグラフと \(x\) 軸との交点の個数を考えれば求めることができます.それでは,グラフを描きましょう.
\(x\)
\(y\)
\(k = \)
スライダーを左右に動かすと \(k\) の値が変わります.\(k\) の値とグラフの変化,\(x\) 軸との交点の個数すなわち3次方程式 \(x^3 - 3x + k = 0\) の実数解の個数の変化を見てください.グラフを信頼すれば,もう解答できてしまいますね.
\(k < -2,\ 2 < k\) のとき \(1\) 個
\(k = \pm 2\) のとき \(2\) 個
\(-2 < k < 2\) のとき \(3\) 個
しかしながら,高校生の皆さんには学校の試験もあれば入試もあります.その場では,PCやスマホを利用することができません.それでは,どのように解答したらよろしいでしょうか? 解答の仕方を2つ示します.3次関数のグラフを用いますから,そのグラフが概ねどのようになるっているかを理解していることは前提になります.\[f(x) = x^3 - 3x + k \\[4px] f'(x) = 3x^2 - 3 = 3(x + 1)(x - 1)\]となり,増減表を書きます.
\(\begin{array}{|c|c|c|c|c|c|} \hline x & \cdots & -1 & \cdots & 1 & \cdots \\ \hline f'(x) & + & 0 & - & 0 & + \\ \hline \hline f(x) & \nearrow & k + 2 & \searrow & k - 2 & \nearrow \\ \hline \end{array}\)
となります.さらに,グラフの概形を考えれば
極大値<\(0\) 又は 極小値>\(0\) \(\Longleftrightarrow\) 実数解は1個
極大値=\(0\) 又 極小値=\(0\) \(\Longleftrightarrow\) 実数解は2個
極小値<\(0\)<極大値 \(\Longleftrightarrow\) 実数解は3個
であり,したがって,上に書いた解答が得られます.これが一つ目の解答例です.
ただし,このタイプの問題に対しては,様々な解答が考えられます.勿論,いずれもグラフを用います.この問いであれば,私なら(と言うより一般的には)次のように解答します.
解答
方程式 \((1)\) を変形すると\[-x^3 + 3x = k\]となりますから,3次関数 \(f(x) = -x^3 + 3x\) のグラフと 直線 \(y = k\) との交点の個数が,方程式 \((1)\) の実数解の個数に一致します.\[f'(x) = -3x^2 + 3 = -3(x + 1)(x - 1)\]これより関数 \(f(x)\) の増減表を書きます.
\(\begin{array}{|c|c|c|c|c|c|} \hline x & \cdots & -1 & \cdots & 1 & \cdots \\ \hline f'(x) & - & 0 & + & 0 & - \\ \hline f(x) & \searrow & -2 & \nearrow & 2 & \searrow \\ \hline \end{array}\)
関数 \(f(x)\) のグラフを描き,グラフと直線 \(y = k\) との交点の個数を見ます.
\(x\)
\(y\)
\(k = \)
したがって
\(k < -2,\ 2 < k\) のとき \(1\) 個
\(k = \pm 2\) のとき \(2\) 個
\(-2 < k < 2\) のとき \(3\) 個